「広報の集い」は、Twitterをしている広報なら、ほとんどの方がその存在を認識しているのではないだろうか。
運営者であるお二人の「営業だったら競合他社はライバルだけど、広報だったら、むしろタッグを組みたい」という会話からもわかるように、広報コミュニティは、知識のインプットといった勉強要素より、むしろ横のつながりが作れることに大きな魅力がありそうだ。
今回は、「広報の集い」を運営する、千株式会社の木村綾乃さんと、ユナイテッド株式会社の江川みどりさんに、広報・PRパーソンならではの広報のお話を伺った。
(インタビュー:編集部 若林)
この記事の目次
- 同年に新卒採用され、それぞれ、ひとり広報に~ 後に意気投合するふたりの広報ストーリー
- 「保育テック」で、コロナ禍で煩雑化する幼稚園保育園の悩みをソリューション化
- 「人」にスポットを当てた採用広報で、学生からの反応が上昇
- 広報として意識しているのは“新たな繋がりを増やしていく”こと
- 「メディア露出=売り上げアップ」に繋がらない場合の、広報価値のはかり方とは
- 自己実現も果たした、社内広報の取り組み
- 広報的な情報発信よりも、日常の共感の積み重ねでフォロワーを獲得!
- 既存の広報コミュニティとは差別化を図る「広報の集い」
- PRマガジン編集部の「編集後記」
- 広報コミュニティが熱い
- 広報自身のパーソナルブランディングの重要性
- 今回のPRパーソン紹介
同年に新卒採用され、それぞれ、ひとり広報に~ 後に意気投合するふたりの広報ストーリー
若林:本日は宜しくお願いします。おふたりとも、2018年の新卒で現在の会社に入社してらっしゃるんですよね。木村さん:はい、そうです。
江川さん:同じ年です!
若林:そうなんですね! どういった経緯で、今の会社に入社されて広報担当になられたのですか。
木村さん:私は大学卒業後に千株式会社(以下、千)に入社し、3年目になります。職場体験や社員交流などを行い一番自身が働くイメージを持てた千に営業職で入社を決めました。もともと大学でイベントの宣伝を担当していた経験から広報には興味があり、採用の段階からやってみたいと言ってはいたのですが、千には広報がなかったので「いつか」くらいのニュアンスでした。入社から2ヶ月くらい経った時に、会社として、そろそろ専任の広報を設けようという話になり、複数人に声をかけたうち即答で「やりたい」と答えたのが私だけだったようでやる気をかってもらい専任広報になりました。
若林:今もおひとりで広報をなさってるんですよね?
木村さん:はい、ただ昨年度より社員が増えた関係で、マーケティング担当者や人事担当者へ今まで手をつけていた業務が分散化され、ひとりとはいえど外部広報に注力できる状態になっています。
江川さん:私も木村さんと同じく、今が1社目で入社3年目です。最初の年は広告事業で営業を経験し、2年目から広報になりました。実は、大学4年生の夏くらいまで、自ら発信することや声を使った仕事に興味を持ち、アナウンサーを目指していました。
しかし就活をする中で、とある人事の方に「江川さんの志望理由を聞くと、広報の仕事に向いているかもしれないね」とアドバイスをいただいたことがきっかけで、自分が広報をしたいと思える会社に就職したいと考えるようになりました。ユナイテッドは社員のみなさんがアナウンサー志望だった私のこともすごく認めてくれて、この会社だったら、自分も活躍できるのではないかと思い入社を決めました。広報は新卒の時からなりたかったのですが、まずは会社のことを理解するという意味で営業配属になり、2年目から広報になりました。
「保育テック」で、コロナ禍で煩雑化する幼稚園保育園の悩みをソリューション化
若林:広報のミッションも伺っていきたいのですが、木村さんの会社は、最終的にはBtoBtoCだと思うのですが、露出とかプレスリリースを拝見すると、現在はBtoBのPRを強化されている印象を受けました。木村さん:そうですね、幅広く認知を拡大するのがミッションではありますが、現在のメイン事業である、インターネット写真販売サービス「はいチーズ!」はまず保育施設に導入していただかなくてはいけません。導入自体は無料のサービスで、対価が発生するのは、その先の保護者様が写真を買ってくださってからになります。
そのため、BtoBへの発信を強化しています。また、メイン事業以外にも、事務業務をICT化するサービスなど横展開をしており、「保育テック」というワードの認知や浸透を図っている段階です。とはいえ、toCの方々へのサービスも最近リリースしているので、SNSでの発信も強化を開始しました。
若林:うちも子どもが2人いまして、保育園や小学校で写真がWEB上で都合のいいタイミングで見られるので、すごく重宝しています。ユーザーとしてはありがたいですが、保育園や小学校って独特のコミュニティがあり、なかなか外部の情報を受け付けなかったり、新しいものに慎重だったり、専門媒体も限られていますよね。どうやって広報されているんですか?
木村さん:仰った通りで、ダイレクトな広報は難しいですが、デジタルを導入することにまだ抵抗があるのは小学校でも保育園でも同じことで、そこに対する安心材料として、有名メディアへの露出実績を作っていくというのが大事だと思っています。ダイレクトにtoBに向けた広報をするというよりは、遠回りですが、実績を見える化し信頼度向上という形で広報することが多いです。
若林:「保育テック」という言葉を浸透させるべく、なるべく記事では、その単語が露出できるような取材対応をされているということですね。
木村さん:はい、まさにそうです。
「人」にスポットを当てた採用広報で、学生からの反応が上昇
若林:ありがとうございます。次に江川さんにですが、ホームページを拝見すると、人材制度とか、結構人に寄った露出が多いように感じまして、採用広報に注力されてるのかなと思ったのですが、どういったところにミッションを置いて活動されているんですか?江川さん:現在一番注力している事業は、2020年4月から始まったDXプラットフォーム事業です。「ユナイテッドといえばDXの会社だよね」とみんなに思ってもらえるよう、認知拡大を一番に置いて広報活動をしています。ただ、DX事業は弊社としても始めたばかりの事業ですので、適切な広報は何か、試行錯誤中です。
仰っていただいたように、新卒採用にも力を入れており、新しく入ってくださる方に響くような露出というところで、人にスポットを当てた取材や、サマーインターンシップの取り組みに力を入れています。去年ですと、3,800人以上の学生さんの応募があり、採用広報の効果が出ていますので、そこにも力を入れているところです。
若林:仰るように、DXって、コロナ禍に入って、よく聞きはしますけど、実際にどういうことをしてくれたり、自分に合った会社をどう選ぶかとか、わからないところはありますよね。どういったPRの方法をとられているんですか?
江川さん:専門の部署が担当している領域なのですが、去年から著名な方にも登壇いただくウェビナーを積極的に開催しています。また直近ですと、オウンドメディアを立ち上げ、DXに関する記事の発信を始めています。私が動いているところでは、DXの専門的な分析、ご提案ができますという切り口でメディアの方にご連絡し、寄稿も含めた露出を狙っているところです。
若林:新卒採用では非常に結果がでてきているのですね。
江川さん:もともと、広告や投資、ゲーム事業など、さまざまな事業を運営していたのですが、直近の注力はDXプラットフォーム事業ということで、コンサルティング志望の学生さんを採用したいという狙いがあり、採用広報にも力を入れています。
広報として意識しているのは“新たな繋がりを増やしていく”こと
若林:最近反響のあったPR事例を伺えますか?木村さん:一回目の緊急事態宣言発令の時に休園要請があったことから、休園中のお子さまを笑顔にするためのサービスをリリースしたことは反響が大きかったように思います。昨年は、社内にあるネタをうまく季節ネタと結びつけて、弊社の取り組みの発信を強化しました。取材数と反響数が伴わない課題はありましたが、トライした結果メディアの方から「こういう園を探してるんですけど、千さんの方でご紹介いただける園はないですか」とお問い合わせいただけることが増えたので、そういう意味では反響がよかったかなと思っています。
若林:なるほど、今回、季節ネタに絡めて情報発信されたとのことですが、具体的には、どういった切り口でメディアにアプローチされたんですか?
木村さん:コロナ禍の影響で園イベントは感染予防のため保護者の入場規制がかかり、我が子の晴れ舞台を直接見ることができないという自体が起こっていました。保護者に様子をなんとか届けようと弊社の撮影やライブ配信サービスを利用してくださっている園の取り組みや工夫して実施されている点を、資料をつくってお渡ししていました。
若林:メディアに対して企画書を提案したということですね。運良くうちの子どもの小学校は、運動会も学校側で学年ごとに保護者を入れ替えて対応してくれたので観に行けましたが、保育園のクリスマス会は、感染人数が増えきたタイミングだったので園児だけでした。でも、いつも以上に写真をたくさん撮ってくれて、笑顔でいっぱいの写真を見ることができ、先生たちにも感謝でした。メディア向けの企画書には、社会背景や「はいチーズ!」の概要、保育園の取材もできますよといった要素を入れた感じでしょうか。取材できる保育園名も記載していましたか?
木村さん:季節ネタの時は取材にご協力いただける園名まで出しています。やはり取材先を書いてないと、次に進みにくいというか。園名を書いていると、具体的な問い合わせやフィードバックをいただけることが増えましたね。
若林:いくつか候補を挙げて、提案されたということですね。このサービスは、首都圏だけではなく全国で展開されていると思うので、リリースは全国に流されてるんですよね?おひとりで網羅されるのはすごく大変だと思うのですが、どういった工夫をされてるんですか?
木村さん:まだまだ開拓途中ではありますが、一番心がけているのは、広報もメディアも関係なく、たくさんの方と繋がっていくことです。今の時期、会食は難しいので、オンラインで始めての方にお会いし、新規の繋がりをつくりどんどん広げていくということを意識的に行っています。オンラインになったことで地方の方との繋がりも加速したように思います。また、繋がれた方との連絡が途絶えないように担当されている分野の内容と他社のリリース情報がマッチした際は提供させていただき、うちのサービスだけを売り込むイヤな人にならないようには気をつけています。
若林:そういう意味でも、広報担当者に限らずにリレーションを深めておくと、メディアの方にもいろんな情報を渡せるようになり、広報活動が円滑に進むようになるということですね。
木村さん:そうですね、あと、広報の方が紹介してくれるパターンも割とあります。広報の方と横の繋がりを作っておくことで、広報の方から私に問い合わせがあることもあります。
若林:広報の方から問い合わせがあるというのは、どういうことですか?
木村さん:「この案件の記事を探してる記者さんがいるんですけど、保育関係のネタ持ってましたよね」という感じで繋いでくださったり、ダイレクトに、「今このネタ持ってるんですけど、この記者さんと仲良くありませんか?」といったやり取りですね。
若林:おもしろいですね、そういうやりとりって結構あるんですね。
江川さん:私も木村さんに相談します! 「ここの記者さんと仲いい?つながっている方いる?」とか。
「メディア露出=売り上げアップ」に繋がらない場合の、広報価値のはかり方とは
若林:広報の方同士ってすごく仲いいというか、情報交換を積極的にされてますね。江川さん:そうですね、特に今はコロナ禍というのもありますし。私が営業だった時と広報の時の違いは、営業の時は競合はライバルでしたが、広報になると、同じ業界で一緒に頑張る仲間という感覚に変わったことが一番大きいです。むしろ、競合となるような同じ業界の方と一緒に、記者さんに企画を提案したいので、積極的に情報交換したいという側面がすごくあると思います。
若林:おもしろいですね、確かに広報の場合はバチバチやりあうよりは、一社でどーんと載ることってなかなか難しいので、みんなで協力して特集を獲得した方がいいということですよね。ちなみに、江川さんは、最近反響のあったPR事例はいかがですか。
江川さん:グループ会社との連携も密に行っています。DXという大きな文脈の中には、“DX人材”も含まれています。グループ会社のキラメックスは国内ナンバーワンのオンラインプログラミングスクール会社で、ユナイテッドとキラメックスで一緒にDXコンサルティングが可能というソリューションを提供しています。DX人材の文脈でも露出ができるよう、キラメックスの広報と毎日のように連絡を取り合っています。コロナでプログラミングや副業の関心が高まっていることもあり、記者さんを紹介しあったり、コミュニケーションをとることで、メディア露出や記者さんの注目度を集めるのに繋がっています。
若林:ウェビナーの方はあまり関与されてないと仰ってましたが、企画や開催後の広報的な観点からのフォローアップは何かされていますか?
江川さん:企画とディレクションはDXの専門部署で行っていて、私からは、開催についてお知らせするリリースを配信したりしています。
若林:ウェビナー開催のリリースって、メディア掲載を狙うのは難しいイメージがありますが、配信の意図は何でしょうか。
江川さん:参加者への認知拡大というところと、ウェビナーの内容をオウンドメディアのコンテンツとして発信しているので、自社のコンテンツとしての発信が目的です。オウンドメディアでは私も、最後のテキストチェックを担当してます。
自己実現も果たした、社内広報の取り組み
若林:2020年の4月から広報ブログも開設されてますが、それはどういった意図があったのでしょうか?江川さん:ユナイテッドの公式SNSがFacebookのみで、自社の発信が弱いというのが課題でした。それを補う意味でも、役員ブログと同じタイミングで広報ブログを立ち上げ、社内の情報や採用関係の動きをメインに発信しています。
若林:Web社内報『みないと!』が、「社内報アワード2020」Web/アプリ社内報 媒体全体部門でブロンズ賞をとられたということで、それも江川さんが担当されているんですか?
江川さん:ご丁寧に調べていただきありがとうございます!社内限定のブログ記事ですが、そちらも執筆と運営を担当しています。社内報はユナイテッドの創業当時からあり、社員のコミュニケーション活性化につながる良い取り組みだなと思っていたので、去年初めて媒体全体部門で応募しました。
若林:プレスリリース書いて、ブログ書いて、社内報書いて…、めちゃくちゃいろいろ書いてらっしゃいますね!
江川さん:自分ではあまり意識してなかったのですが、そうですね、確かに…。もともと株主さんから、もっと役員の考えていることを知りたいというご意見を頂戴しまして、そこでまず役員ブログを始めようということになったのですが、それであれば広報としても、もっとライトな話題や、社員の様子を伝えるような記事を発信したいと考え、広報ブログも始めました。
若林:社内ライブ配信企画「みどりの部屋」は、ご自身発の企画ですか?
江川さん:広報グループで話し合い、生まれた企画です。弊社は2020年2月という比較的早い段階から在宅勤務になりました。すると出社が減ったことにより、社内のコミュニケーションが減るという課題が出てきます。そこで、広報グループの中で、「ライブ配信やるのはどうだろうか。江川さんもともとアナウンサーを目指していて、そういうの好きそうだからどう?」という感じで、最初にアイデアが出まして、「みどりの部屋」という名前になり、配信を始めました。
若林:最初はアナウンサーを目指されていたということですが、広報でも話す仕事をご自身で作られて、実現されてますよね。ご自身で活躍の場を広げられているんだなとすごく感じました。
江川さん:ありがとうございます! 全社キックオフの司会や、会社説明動画のナレーションなど、意外と社内で話す仕事があり、貴重な機会をいただけてとても有難いです。
広報的な情報発信よりも、日常の共感の積み重ねでフォロワーを獲得!
若林:木村さんのTwitterのフォロワー数が1426名(取材時)って、すごいですね。さっき仰っていた、横の繋がりをどんどん広げていくということを本当にされているんだなと感じます。私も拝見してたんですけど、Twitterは広報になってから始められたのでしょうか、それとももっと前からですか?木村さん:個人では学生の時からやっていたのですが、広報のビジネスアカウントとしては、昨年の4月から始めました。毎日頑張っております!
若林:これだけフォロワーが増えてくると、プレスリリースと同じくらいダイレクトに、BtoBやBtoCの方に響くメッセージを伝えることができるので、こんな風に増やしたいと思われる方もたくさんいると思いますが、広告とかを使われないで、どうやって増やしていかれたんですか?
木村さん:意識的にというより、割と、自分の生活に合わせて仕事の中で気づいたことをツイートしています。たとえば、社長取材に同席し、「横で経営者の話を聞けるのは広報の特権だ」みたいな広報あるあるや「ネタに迷ってるので、相談に乗ってくれませんか」という悩みツイートをするタイミングは共感や応援してくださる方が多く同時に拡散されフォローしていただける印象です。
若林:下手に広報ノウハウを発信より、ご自身が気づいたことや思ったことを発信すると、それに共感した方がいいね!やフォローしてくれて、そういった積み重ねで今に至るという感じでしょうか。
木村さん:そうですね。「広報の集い」も、最初のきっかけはTwitterで「記者さんと何かしようと思うんですけど、興味ある方いらっしゃいますか」と聞いたら、たくさん反響をいただいたので、じゃあ、始めよう!と。私は今までのメディア露出も、広報の知り合いからメディアの方を紹介いただいたりと、広報の横の繋がりが実を結ぶことも多かったため、自らセミナーの主催者になり、横のつながりを更に強化していければと始めました。
既存の広報コミュニティとは差別化を図る「広報の集い」
若林:いいですね。流れ的にそちらのお話も伺えたらと思うんですけど、もともと江川さんとやるのは決まってたんですね。江川さん:なぜ、声をかけていただいたか謎なんです(笑)。有難いのですが、私でいいの!?と思いました。
木村さん:江川さんに決めてたのは、もともと仲が良くて、バリバリ広報をやっていらっしゃったので。弊社の社員が取材を受けた時に司会進行してくれたのが江川さんで、私はセミナーの運営や司会進行をした経験がなかったので、そういうところも含め江川さんに声をかけさせていただいたら、すぐにお返事をいただけたんです。
若林:広報のコミュニティの中で、「広報の集い」は新しいほうですよね。既存のコミュニティとの差別化を、どのように図ろうされたんでしょうか。
木村さん:ふたりともひとり広報だったので、ちょっと寂しいというか…社内に相談できる人がいないという悩みを抱えていたので、セミナー内で参加者全員がグルーピングされ自己紹介ができて、横の繋がりを作れるコンテンツも入れるようにしました。
ただの参加だと、知識を得ただけで終わると思うんですけど、最初の5分間くらいを3〜4人ずつグルーピングして会話をしてもらっています。実際、そのグループで仲良くなってセミナー後も情報交換をしてますというご報告をいただいたりするので、狙い通りの効果はあったなと実感してます。
若林:そのほかの差別化はいかがでしょう。
木村さん:「広報の集い」は、ほぼ月一でメディアを招いたセミナーを開催しているのですが、登壇者がメディアの方という点と登壇者の連絡先をお渡ししているというのが、参加者の皆さんには大きなメリットと感じていただけるのではないかと思います。
若林:登壇者は、どのような基準で選ばれているんですか?
木村さん:まだスタート段階なので、仲の良い記者さんに声をかけさせていただいてます。条件として、Win-Winであること、登壇者も広報と繋がることにメリットを感じてくださっているということです。
若林:なるほど、今は月1ペースで開催されていますが、今後も同じように継続されていくのですか。
江川さん:始まったのが昨年10月からで、その時は2021年3月までの期間限定の取り組みでスタートしたのですが、とてもありがたいことに、継続して参加くださる方も増えてきたので、今後の運営について、お正月に木村さんと話して決めました。2021年の4月以降は、勉強会と広報交流会を隔月でやろうと決めて動いていきます。
若林:参加者は、どういう層や課題が多いか把握されてますか?
江川さん:やはり、ひとり広報の方と、広報経験が1〜3年目の方が多いですね。課題として多いのは、広報のいろはや広報としての動き方、メディアへの連絡の仕方、連絡先の知り方、媒体ごとの攻め方などです。特に、テレビにどういう企画書を出すかや、新聞記者さんの連絡のとりやすい時間帯はいつかなど、媒体ごとの攻め方を知りたい方も多いという印象です。
若林:なるほど。お二人と同じように、ひとり広報という課題を抱えている方たちに、メディアとの間を繋いだり、他の広報とのリレーションを築けるように利用して欲しいという想いで運営されているということですね。
江川さん:仰る通りです。今後は、メディアでいうと「PRマガジン」さんのように、何か広報の情報を得たいという時に最初に思い出してくれるコミュニティになれればいいなと思ってます。
PRマガジン編集部の「編集後記」
広報コミュニティが熱い
数年前から、Facebookなどを中心に広報コミュニティが多数誕生し、PRマガジンでも、これまでにコミュニティを運営する方を何名か取材させていただいた。木村さんと江川さんが運営する「広報の集い」は、2020年10月から活動を始められているが、Twitterをしている広報なら、ほとんどの方がその存在を認識しているのではないだろうか。取材中の「営業だったら競合他社はライバルだけど、広報だったら、むしろタッグを組みたい」という会話からもわかるように、広報コミュニティは、知識のインプットといった勉強要素より、むしろ横のつながりが作れることに大きな魅力がありそうだ。
2021年3月までの期間限定で始めたコミュニティだったが、4月以降も月に1度、勉強会と交流会を交互に行うそうだ。
楽しそうに今後について話すお二人を目の当たりにし、ますます彼女たちの活動を注視していきたいと思うようになった。
広報自身のパーソナルブランディングの重要性
これまで、「話題の女性広報」で取材させていただいた方にも共通するが、木村さんも江川さんも企業広報としてだけではなく、いちPRパーソンとしてのブランディングが上手だと思った。メディアをはじめ、多くの人と接点を持つ広報にとって、「その他大勢の広報」になるのではなく、「あの人がいい」「あの人だから」と思ってもらえるような存在になることが重要だ。
これからの企業広報はパーソナルブランディングも意識しなくてはいけない…。改めてそう感じさせられるお二人だった。