YouTubeのチャンネルでは再生回数が10万を超えるヒットコンテンツを生み出し、PR施策ではコンスタントに露出を獲得しているUZUZという会社がある。同社に興味を持ったPRマガジン編集部が調べた結果、察するに、おひとり様広報のようである。
PRマガジン編集部としては、これは話を聞くしかない!と思った。
どれだけパワフルな女性が現れるのかと思ったら、笑顔がかわいい優しい雰囲気の女性。
しかもほぼ定時には帰るという。
なぜそんなに効率良く広報ができているのか──?
今回は第二新卒・既卒・フリーターと呼ばれる20代の若者たちの就活サポートを行う、新宿発の人材ベンチャー企業 、株式会社UZUZの土田沙来さんに、広報・PRパーソンならではのリアルな企業広報のお話を伺った。
(インタビュー:編集部 若林)
この記事の目次
- さまざまな業務を知っているからこその「強み」
- 地道な種まきと、YouTubeの広報ミッション
- スタートアップ当時から、広報の重要性を認識
- UZUZ広報としての目標「ガイアの夜明け」出演に向けた取り組み
- 広報、社内コミュニケーションで発揮される「雑談力」
- 「即対応」がモットー
- 積極的な社員寄稿で、さまざまな対象者に種まきを
- 社員専用グループチャットでTwitter広報力強化!
- SNS手当で社員モチベーションをアップ!
- キャッチーな名前の社内制度で取材を獲得
- プライベートは「妄想」で広報脳トレーニング
- PRマガジン編集部の「編集後記」
- 笑顔がかわいい優しい雰囲気の女性
- 広報以外の業務を兼務しているから
- 無自覚の人たらし?
- 今回のPRパーソン紹介
- 広報・PRパーソンが仕事や息抜きで使うお気に入りのカフェや場所をご紹介
- 「広報パーソンのお気に入り」お待たせしました第三回、西新宿、京王新線初台駅が近い、淀橋酒場 きんや
さまざまな業務を知っているからこその「強み」
若林:今回、ぜひ、お話を聞きたいと思ったきっかけは、土田さんのTwitterで、そこから御社のことを色々調べさせてもらって。ビジネス系のWEB媒体の連載や、社員の方々のインタビュー記事、社内制度をフックとした露出やアンケート調査など、コツコツとコンスタントにメディア露出を獲得されていますよね。加えて、時流に合った「UZUZ就活チャンネル」で新しい記事を獲得されたり、王道かつ最新のPRを組み合わせて、すごくうまく広報をされている印象を感じたんです。
土田さん:ありがとうございます。そんな風に言っていただいて、恐れ多いです、本当に…。
若林:土田さんは、アルバイトで入社をされて、半年後に正社員になられたんですよね。広報になったのは、いつからですか?
土田さん:2018年の4月くらいですね。もうすぐ二年目くらいになるかなと。
若林:前任の御代田さんは、UZUZ初の海外赴任社員と書かれていますが、今もそうなんですか?
土田さん:今もNYです。もともと本社勤務だったのですが、ご主人のお仕事の都合でNYへ行き、さすがにメディアリレーションなどが難しいということになって引き継ぎました。御代田がNYに行ってからは、NYとオンラインで繋ぎながら、週に一度はミーティングをやってもらいました。そこから徐々に広報比率の割合を、私に増やしていきました。
若林:今はほぼ、土田さんおひとりですか?
土田さん:私と、専務の川畑が広報の責任者として二名体制でやっています。実は、私は専任ではなく、キャリアサポートや採用アシスタント、社内イベントの企画運営の部署などと兼任しています。川畑も、役員業務のほか、製作やマーケティング、キャリアアドバイサーなど、広報以外の仕事の方が多いんです。なのでPRがしやすいというのがあるかとも思います。
二人で、弊社の事業部をほぼ網羅できていますので、たとえば、研修型就活サポートであるウズウズカレッジに取材が入った時は、川畑が責任者をしてるので調整や撮影スケジュールが組みやすかったり、社内イベントの取材が入った時は、私が話をさせていただいたりなど、そういう感じで結構、企画とかも出しやすかったりします。今、ここの事業が熱いよ、とかも。
若林:他社の広報さんも、兼務なさってる体制の方は多いですよね。ただ、業務が多すぎると、広報の仕事がなかなかできないという課題も聞くのですが、その辺はいかがですか?
土田さん:そういった悩みは、つきないと思います。弊社は人材紹介の会社なので、今の時期は、割と繁忙期に入っています。そうなると、自分のキャパシティからはみでてしまうような時もあります。
でも、そこは考慮してくれていますので、兼務の分、広報の業務が多少滞っても、そこまでは評価に反映されないですね。大変に思う時もありますが、どちらかというと私は、兼務の方がなんとなく気分転換になります。飽きっぽいタイプなのかもしれないですけど、私としてはやりやすいなと思ってます。
地道な種まきと、YouTubeの広報ミッション
若林:以前は、PR会社も入っていらしたそうですが、現在は土田さんが、企画やリリースの作成、メディアアプローチまで全部行っているのでしょうか。土田さん:ちょうど私が広報になって一ヶ月後くらいに、PR会社と契約が終わってしまったので、ほぼ一人でやっております。ただ、プレスリリースの出し方や調査リリースの作り方など、ある程度、教えてもらったものがある状態で入れましたので、駆け出し広報の苦労というのは他の方に比べると少なかったのではと思います。
若林:広報になってはじめての仕事が「UZUZ就活チャンネル」だったそうですが、どのような経緯でしょうか。
土田さん:PR会社さんの契約が終わる前、最後のミーティングで、「おもしろいと思いますよ」と遺言みたいな感じで(笑)提案してくださった企画が「UZUZ就活チャンネル」でした。
企業のチャンネルは、当時どこもほぼやっていなく、弊社もチャンネル登録者はまだ1000人くらいでした。それでも、絶対PRになりますよと言われ、当初はやり方がよくわかっていなかったのですが、「これは目新しいものなんだ!」というのは、なんとなく思っていましたので、見よう見まねで企画書を作ってみて、コツコツと「こんなことやっているんです」と、メディアの方にお伝えしていました。
そういった種まきのおかげで、ようやく、去年の年末に「日経MJ」さんから取材いただいたんです。
若林:その記事、拝見しました! ちょうどこのPRマガジンで、前回取材に伺った「三和交通」さんも載っていて、「あーーっ!」と思って…。
土田さん:私も「あーーっ!」と思いました(笑)。
若林:チャンネル動画の「ブラック企業の洗脳手法について」、すごくおもしろいなと思いました。掲載の時点では9万回でしたが、今は10万回以上再生されていますよね!すごいことじゃないですか。
youtubeチャンネル動画「ブラック企業の洗脳手法について」
土田さん:ありがとうございます。YouTubeは、PR効果はもちろんすごくありますが、弊社はどちらかというと、集客やマーケティングが目的で立ち上げ、動画編集専門の社員も採用しています。
再生回数が伸びることは大切なのですが、私たち広報チームのミッションは、弊社が支援している既卒や第二新卒、フリーター、ひきこもりと言われている方たちに情報を提供することです。
私も元フリーターだからわかるんですけれど、新卒に比べると本当に、支援している会社や情報が少ないんです。
極論を言いますと、弊社に登録して欲しいということよりも、そういった支援対象の方々が、「転職や就職をしたい」、「自分にもできるのかな」というきっかけづくりになるような広報活動を行っていけばいいなと思っています。
もちろん、事業が取り上げられたり、UZUZへの登録者数が増えるのが一番ではありますが、根本としてはそういう情報の発信をしていきたいというのは、会社としてありますね。
スタートアップ当時から、広報の重要性を認識
若林:御社のホームページの「UZUZが選ばれる4つの理由」という項目の最後に、「社会問題を解決する、急成長ベンチャーとしてメディアに多数掲載」とありますが、なかなかそこに、広報を掲げてくる企業というのはあまりないと思うんですよ。それだけ御社にとって広報は重要視されているポジションなのでしょうか。土田さん:私が弊社の広報チームに入る前、創業から2,3年目くらいで、広報が立ち上がりました。そのくらいのスタートアップの会社さんでは、広報って二の次にされがちな部署だと思うんです。弊社もまさにそうで、役員陣も、「広報って、何の意味があるの?」という感じだったらしいです。
でも、それこそ、専務の川畑が、これからは企業のブランディングってすごく大事だよという話を、当時の社長と副社長にして、「そんなに言うならやってみろ」という感じになったんですね。
そこでメディア掲載されたり、かつ、そこから問い合わせがあったりすることで、「これって広報の効果かもね」という風に、考え方が少しずつ変わってきたそうです。人材の会社って、競合がすごく多いですよね。そこでやはり、メディアに掲載されるのは大切だというのを、役員自身がおそらく実感したからこそ、広報に関して、役員だけではなく社員もすごく協力的なんです。
他社の広報さんとお話をすると、さまざまな悩みを聞きますが、弊社の広報チームは、数字目標は一切ないんです。割とのびのびとできているので、私自身もそこまでプレッシャーを感じずできています
UZUZ広報としての目標「ガイアの夜明け」出演に向けた取り組み
若林:KPI、数字目標がないというお話ですが、広報の目標、ゴールとしては何かありますか。
土田さん:まだ戦略というまでの道筋は全然立てていないですけれど、UZUZの広報としての私の最終目標は「ガイアの夜明け」の出演と思っていて、そのための種まきを今はいろんなメディアにしています。
もちろんそのために企画書を作ったりしたことはあるんですけれど、今はまだ夢や理想のような、「出れたらいいな」というふわっとした感じです。
若林:アプローチはされたことがあるんですか?
土田さん:一度、番組制作会社に持ち込みに行きました。その時は、ただの打ち合わせで終わってしまい、テレビって難しいなと思ったのですが、そのあと去年の春くらいに、ひきこもりの中高年の方の事件が増えたタイミングがあって、そこで、複雑な気持ちではありましたが、“ひきこもり”というフックで、ガイアの制作会社さんから問い合わせをいただいたんです!
弊社は、第二新卒・既卒・フリーター・ひきこもりの方の就活支援をしていますので、社会貢献という意味でも割とメディアにとりあげていただきやすく、過去にもひきこもりの復活事例として朝日新聞さんで3連載をしていただきました。そういうのから問い合わせが入り、その時は、本当にめっちゃ歓喜で、急いで企画書を送ったんですけど、通らなかったんですね。でもちょっと近づいたな、良かったなって思って。
それで、先日、別の番組でテレビ局に行った時に、制作会社さんが「UZUZさん、企画会議あがってましたよ」と声をかけてくださり、「当時は、社会問題として、内容が暗すぎたみたいでダメだったんだよね」というフィードバックをラッキーにも聞けました。ですので、今後はまた別の方向でやってみようかなって、少しずつですが着実に近づいているのがすごく楽しいなって思いますね。
広報、社内コミュニケーションで発揮される「雑談力」
若林:さっきお話されていた「UZUZ就活チャンネル」が「日経MJ」の一面を飾ってらっしゃったじゃないですか。こういうのとかもありえますよね。「ガイアの夜明け」とかは、時流にあったものをとりあげていますから。。土田さん:弊社がはじめてWBSに出たのは、社員旅行だったんですよ。ほんとに何が引っかかっていただけるのはわからないので、どんどん出していきたいなと思っています。「雑談ベースで」とよくいいますけど、ガチガチに作った企画書を持っていくよりも、記者さんとのお話から繋がることの方が意外といいなって最近思ってます。
若林:それもぜひ聞きたいです! 土田さんの長所に“世渡り術”って書いてありましたよね。それが、どう広報に生きているのか、今のお話もそれに繋がってますよね。
土田さん:私はもともと、営業とかをやってたわけではないので、メディアの方にどういう接し方をすればいいのか、全くわからない状態でした。PRアカデミーというコミュニティに1年くらい入っていて、まわりの見よう見まねで企画書を持って行っても、あんまりうまく話せないなって思ったんです。
ですので、メディアの方と一緒に食事をしてる中でも、自分はフリーターの時期があってとか、こんなことが楽しくてとか、もちろん相手に合わせますが、そういった雑談を話して興味を示していただくというか。
あとは、私の経歴は、そこまで変わってはいないので、社員の話もよくします。会社の事業内容よりも、変わった社員の特徴をPRで話させていただくこともあります。たとえば、「バスケで副業してる社員がいるんですけど」とか、「お笑い芸人をやってる社員がいて、今度M-1グランプリに出るんですよ」というような。
若林:広報だけではなくて、いろいろな部署の仕事をし、社員ともコミュニケーションをとっているからこそ、メディアの方と会った時も、たくさんの話題を詰めて持っていける、ネタに困らないというのはありますよね。
土田さん:そこが一番の理想型だなと思っています。極端な話、一枚のスプレッドシートに、「うちが話せるのはこれだけあります、どれが興味ありますか」というような、お品書き的な感じで、切り口をとにかく増やしていきたいですね。それでダメだった時は、また別提案もしやすいですし。
「即対応」がモットー
若林:結構な短期間で、ゼロベースからそこまでになられるってすごいですね。「テレビ東京」さんや、「日経MJ」さんなど、アポをとらないことには土俵にもあがれないじゃないですか。そのへんは、どう工夫されているのでしょうか。土田さん:実は今は、あまり積極的に外に出ていないんです。お問い合わせをいただいた取材対応がほとんどで、兼務もしているので、いっぱいいっぱいになってしまい…、本当はもっと外にでたいんですけど…。でも、いただいた問い合わせに対しては、本当に貴重なので、即対応するというのは私の中で心がけています。
基本的に私は社内にいますので、電話もすぐに対応できるんですけれど、たとえば、どの広報の方もされているとは思うんですけど、撮影や取材を希望された時に、「ちょっと確認します」はできるだけ言わないようにしようと決めています。割と、最初にいただいた電話の段階でごりごり話すことが多いです。
若林:だから、取材が決まることが多いんですね。
土田さん:電話で問い合わせいただいてから、ペンディングになったことはほとんどないですね。たぶん先方でも企画がほぼ固まっている段階でお問い合わせをいただいているような、ラッキーが多かったのかもしれないですけれども。
積極的な社員寄稿で、さまざまな対象者に種まきを
若林:問い合わせは、何を見て来るんですか?
土田さん:社員が寄稿した記事や、あとは、第二新卒とか既卒と調べると、わりと弊社は検索で上位に出てきますし、メディア掲載が過去の経歴として残っていると信頼も上がって、取材に結び付きやすくなるというのはあるかもです。
同じ番組の別々のディレクターさんから、リサーチで2回電話がかかってきたことがあります。1つの切り口は、社員が寄稿していたパラレルワークや副業系のテーマで、もうひとつは第二新卒のテーマで。同じ番組だったんですけれど、結局そこで第二新卒の方があがることになって、企画が通ってラッキーでした。
若林:それも寄稿していたからこそということですものね。
土田さん:寄稿記事って、自分たちが発信したいことを発信したいタイミングにできますから、広報効果はとても高いと思っています。社員の寄稿はきり分けていまして、「東洋経済オンライン」は専務の川畑が月1回、「bizSPA!フレッシュ」は20代向けのメディアなので、ユーザー向けに発信しています。
実際に面談するキャリアアドバイザーが書いた方がわかりやすく信頼感も増しますし、そちら経由で面談をしてほしいと依頼が来たりもします。「HR NOTE」は、人事向けのコンテンツのメディアですので、そこは完全にB向けの記事をということで、営業部長や研修事業の責任者が書いたりですとか。
種まきがいろいろな方向からでるのはすごくいいなと思っているので、これからも、寄稿記事が書ける人やメディアをどんどん増やしていきたいです。
若林:社員の方も協力的なんですね。結構、寄稿記事って大変じゃないですか
土田さん:めちゃくちゃ大変ですね。最初は、書いてもらえないという問題に直面したんですけれど、目立ちたがり?(笑)の社員が一人いたので、結構そこはスムーズに解決しました。自分自身が発信できるというのは、社員にとってもすごくプラスなことではあると思うんですよ。
今、“寄稿チャット”というグループを社内でつくっていまして、自身が発信したい内容はそのチャット内で記事をあげてもらって、それ以外にも編集者の方から依頼されたテーマを「書ける人いますか?」と流しています。
社員は素人なので、テーマだけ伝えて書いてもらうと編集の工数がすごくかかりますので、最近は、社内ライターの力を借りて構成割りをしてもらい、それを指南書みたいな感じで“寄稿チャット”に出してお願いしています。それで編集者からもチェックがすごく減りましたし、まだまだ全然もんでる段階ではあるんですけれど、少しずつ、社員が気軽に書けるようにしていきたいなと思っています。
社員専用グループチャットでTwitter広報力強化!
若林:「社員が自由に発信できるように」とお話されましたが、土田さんのTwitterがきっかけで御社のことを知り、おそらく役員の方たちもされていると思いますが、それはみんなで積極的にUZUZという社名を出して発信していこうよという社風なんでしょうか。
土田さん:それもまた、弊社には“Twitter運用チャット”というグループがありまして、そこには社員20名くらい入っています。
弊社のユーザーの傾向として、SNSは何を見るかという時に、Facebookは、社会人や、割と年配の方かなというイメージで、フリーターやニートの方って考えるとInstagramという感じでもないんですよ。そしたらやっぱりTwitterだねということになって。古株社員とかは、結構昔からやってはいたんですけど、でも全然活用しておらず、もう一回やってみようということで、マーケのチームがまず、メインのUZUZアカウントの運用を始めたんです。
若林:それは、いつ頃からですか?
土田さん:たぶん2年前くらいですね。Twitterをもうちょっと強化していこということで、今3000名近くのフォロワーがいますが、情報を発信していく中で、やはりそこでも効果が得られたんですよね、登録者さんが直接、相談してくださったり。「やっぱり、Twitterっていいんだ」という風になってきて、役員や社員もやり始めたという流れです。
このチャットがすごいのは、自分がツイートした時に、特に拡散したいツイートは「拡散してください」と、チャット内で通知するんですよ。そうすると、みんな自分のアカウントでいいね!とかリツイートし、どんどん拡散しやすい環境を作るんです。あとは、「こういう風にツイートすると伸びるよー」というようなノウハウ共有もしています。
若林:見ていいですか?
土田さん:全然大丈夫ですよ。私がやってるやつとかでしたら。こんな感じで。
若林:結構な頻度でこのチャットって動いてますよね。
土田さん:ほぼ毎日動いていると思います。どこにも載っているようなものだと思うんですけれど、ツイート方法のまとめとか概要など、初心者でもツイートしやすいように、ノウハウを共有し合っています。最近だとSNS手当というのも始まりまして。
SNS手当で社員モチベーションをアップ!
若林:えー、SNS手当って、なんですかそれ! おもしろーい!
土田さん:弊社は、この2月から9期が始まったのですが、新しい取り組みとしてSNS手当を支給することになりました。今回はTwitterのみで、フォロワーに応じて手当をいただけます。役員陣が強化したいチャネルがTwitterだというのもありますが、確かにそうだなと思うのが、会社のことを発信してるわけじゃないですか、広告をかけたり、広報をするのと同じ効果が得られるわけですよね。
若林:確かに、個人がやってくれてるわけですものね。
土田さん:今、Twitterはすごく盛り上がってますよね。私は1年前くらいに広報用のアカウントを作りましたが、今お見せした運用者チャットが、結構意識高いじゃないですか。フォロワー増やすためにはとか、こういう風に書いたいいよとか、ノウハウを最初にそこでバーッと教えてもらったのですが、教えてもらったけど、どうしよう、ネタないわと思っちゃって。Twitterって、プライベートで学生のころ使ってた時は、本当どうでもいいことを書いてたのに、今ってビジネスで使ってるんだと驚きました。
そういうわけで、最初は全然発信できていませんでした。でも、去年の9月に『社会に出たいとウズウズしている君に贈る「就活ひきこもり」から脱出する本』を出版した時に、Twitterでキャンペーンを打って、どんどん拡散しようとなったので、ここが二回目に乗っかるタイミングと思い、そこからもう一回ツイートを始めることにしました。
やっぱり、まじめなことを発信し続けるのは、私はダメだと思ったので、仕事のことももちろん書きますけど、結構ゆるいことも書いています。私には難しくてよくわかんないことをツイートしてるエンジニアもいますし、高卒をメインでサポートしたいと思っている社員は、高卒に関する情報をどんどん発信したりですとか。SNS手当があったり、運用者チャットがあったりとかで、結構ルールが多そうと思うかもしれないですけれど、割とそこは個人が好きなことを発信していっています。
若林:ちなみに、手当はおいくらなんですか?
土田さん:本当にささやかですが、現時点ではフォロワーに応じて1000人以上だと月1000円、1500人以上で月3000円、3000人以上で月5000円です。
若林:結構良いじゃないですか! 毎月1000円とか3000円とか、ましては5000円給料を増やそうと思ったらまあまあ大変ですよね。
土田さん:確かに、それでモチベーションを高くできるのはいいことですね。
若林:今、社員や役員含めて、一番フォロワー数多い方は?
土田さん:メインのUZUZアカウントを抜くと、おそらく専務の川畑で、もうすぐ2000くらいですかね。役員以外では、森川というカウンセラーが1800くらい。森川は寄稿記事なども自分でどんどん書いてくれています。そこも、自分たちが寄稿したものやメディア掲載は、今までは会社のFacebookだけで拡散してましたが、それよりも拡散力が増えますから、広報からしたらいいことづくめです。
社員がみんな広報みたいな感じになれたら一番強いと思っています。トレンドに敏感になったり、それに向けて発信するようになって、そこからまた取材が入ったりとか、そういうのが増えてくると、もっともっと面白くなると思います。
若林:社員全員が広報だったら、たくさん取材が入ってくることになりますものね。じゃあ今、Twitterが絶賛強化中なんですね。YouTubeとの住み分けは、もうちょっとお勉強的な要素ですか?
土田さん: YouTubeは、面接のコツや弊社がキャリアカウンセリングで実際に話していること、業界研究など、割とまじめなコンテンツですね。最初は、まじめすぎるコンテンツってどうなんだろうという話になったんですよ。でもやっぱり、おもしろい人はYouTubeにごまんといるので、そこに企業が入っていくのはすごく難しかったんです。最初はちょっとおもしろコンテンツを作ったこともあったんですけど、やっぱり振り切ろうとなってからは、どんどん登録者数がうなぎ登りになって、もうすぐ1万人になります。(※取材後1万人を突破)
昔は私も出たこともありましたが、今はほとんど関わっていません。今の関わり方としては、マーケの部署でYouTubeのコンテンツを管理しているので、PRする時くらいになってますが、でも、トレンドを知るには、やはりその仕事の担当者が詳しいので、結構話は聞きに行きますね。
弊社は割と、制度がポンポン出てくるんですよ。2年前くらいに、“ウズポ!”という社内通貨制度の企画を出したときは、仮想通貨が流行ったタイミングでしたので、そこに乗れたのでラッキーでした。最初はふざけた名前だなあと思っていたんですけど、世間の方からはキャッチーでいいねーと言われました(笑)。
キャッチーな名前の社内制度で取材を獲得
若林:“ウズポ!”、知ってます! 結構取材が入ったりしたんでしょうか?
土田さん:めちゃめちゃ入りました! たぶん過去で一番入った話題だと思います。もともと、“ウズポ!”自体は、仮想通貨が人気になるよりも前、2016年頃からあったものだったんですけれど、そこからちょうど波に乗れたという感じです。
リクナビNEXTさんのGOOD ACTIONという、企業の制度や取り組みなどを表彰するアワードでウズポ!が表彰され、そこから取材がもうひっきりなしに入りました。
若林:やっぱり、社内に、新しいものをはじめようとか、面白いことをやっていこうという空気感があるから、そういう話題にメディアが興味を持ってくれて、うまい循環ができてるんですかね。
土田さん:そう思います。あとは、私たちはそんなつもりがなくても、名前が割とキャッチーなんでしょうか。たとえば、「アエラ」さんで取り上げてもらった“断捨離ミーティング”は、言ってしまえば、ただの棚卸しなんです。でもキャッチーな名前があることで取材が入るということを、本当に実感しましたね。
若林:社内のことだからといって適当にしないで、ちゃんとネーミングをつけたりすると、意外と取材が入るんですね。「アエラ」さんは、何を見て取材されたんですか?
土田さん:ベンチャー企業の働き方改革のテーマで特集いただいたんですけれども、当時PR会社さん経由で話をもらって「制度について取材したいんですけど、どんなことやってます?」というところから、断捨離ミーティングって面白いねという感じになったんですよね。
若林:雑談力がすごいんですね。雑談から、「あー、うちもあるある、そういうの」というような展開に。
土田さん:いろいろなところに乗っかりやすいかもしれないですね。たとえば、広報のつながりとかでも、「こういう情報ある?」と聞かれると、引っ張りだして、割とすぐ出せると。
今まで取り上げていただいた制度などは、無理矢理つくったものは一切なく、本当にやってきたもので、かつ、ちゃんと結果が出たものです。ただキャッチーな名前をつけたり、制度というだけでは取材はしてもらえなくて、導入したあとの実績だったり、どう変わったとか、導入をした役員や社員の話だったりとか、そういう部分が必要になってきますので、そこで実績がついてるものがあるなら、面白い名前がついている方が、メディア受けがいいのかなと思います。
プライベートは「妄想」で広報脳トレーニング
若林:ありがとうございます。いろいろお聞きできて、なるほどと思うことがすごく多くて。ちなみに、プライベートはどう過ごされてますか?
土田さん:私は、まったく残業しないんですよ。17:59に退勤の準備をして、18時になったら速攻で「おつかれさまです!」と出るようにしています。もちろん忙しい時は残りますけど。
プライベートは、テレビやYouTubeを観たり、家にいることがすごく多いです。趣味という趣味がないので、飲みに行ったり、映画観てとか、本当に全然面白みがないんですけど、そこで、広報の職業病なのかもですけど、テレビを見ている時、どうしたら、うちが出れるかなと考えるのが楽しくて。
若林:頭のトレーニングをずっとしてるわけですね。
土田さん:常にしてるわけじゃないですけど…、こうやって出れたら楽しそうだなとか、妄想というか、それで、切り口をたくさん作るトレーニングみたいなのは、最近はちょっとやるようにしてます。ここだったらこういう提案できるなとか、面白いなとか。
テレビ、新聞、WEBメディアとかも、広報になるまで、LINEニュースでたまに芸能ニュースとかしか、本当に見てなかったんですよ。でも、広報になってから情報収集のためにメディアを見るようになると、社会の動きっておもしろいし、新聞ってなんてわかりやすいんだろうと思ったんです。あんなに一日の出来事がまとまっているのってないなって気づいてからは新聞を読むのが楽しくなって、朝はかならず日経新聞を読んでいます。ちょっと前の私なら考えられないなって。
生活の中に広報の仕事も少しずつ入ってきてるなと思います。他社の広報の方とかは情報収集どうされてるのか気になって。私は朝起きたらまず「ZIP」をつけて、トレンドをなんとなく把握して、「スッキリ!」をみて、その日の社会問題やニュースをしっかりみて、会社ついたら日経新聞を読んで、それで割と会食や取材のときに話せるなって、それが完全なルーティンになってます。
PRマガジン編集部の「編集後記」
笑顔がかわいい優しい雰囲気の女性
広報として、TwitterでもこまめにTweetしている土田さん。そんな土田さんをフォローしているうちにUZUZという会社に興味がわいてきた。調べていくと、いわゆる王道のPR施策でコンスタントに露出を獲得し、かつ、YouTubeの「UZUZ就活チャンネル」では再生回数が10万を超えるヒットコンテンツも生み出していた。
察するに、おひとり様広報。これは話を聞くしかない!と思った。
どれだけパワフルな女性が現れるのかと思ったら、笑顔がかわいい優しい雰囲気の女性。しかもほぼ定時には帰るという。
なぜそんなに効率良く広報ができているのか?
広報以外の業務を兼務しているから
話を聞きわかったことは、土田さんと広報担当役員がそれぞれ他部署の事業にも関わっており、二人合わせるとUZUZの全事業に関わっているからということだった。
普通に考えると、広報に集中できないんじゃない?と思うが、メディアから問い合わせがあれば、待たせることなく回答できるし、メディアと会ったときも、メディアの関心に合わせて、どんどん会社の情報を提供できる。だから、取材の確度も高まるのだ。
無自覚の人たらし?
私が取材時に「土田さんからみて 、この広報はすごいぞ!という人がいたら是非教えてください」といったら 、「是非!たくさんいるので」と言ってくれた。大抵の場合、社交辞令か忘れてしまうところ 、土田さんは翌々日に何人もの広報をコメントとTwitterアカウント付きで紹介してくれた。
面倒だっただろうに…でも、めちゃくちゃうれしい。
こうやってメディアにも周りの人にも好かれていくからこそ、上手く広報ができているんだろう。 だって、私もすっかり土田さんの人柄が大好きになってしまったから…( *´艸`)
今回のPRパーソン紹介
■株式会社UZUZ 広報
土田 沙来(つちだ・さら)
■株式会社UZUZ (https://uzuz.jp/)
広報・PRパーソンが仕事や息抜きで使うお気に入りのカフェや場所をご紹介
「広報パーソンのお気に入り」お待たせしました第三回、西新宿、京王新線初台駅が近い、淀橋酒場 きんや
「広報パーソンのお気に入り」は広報・PRパーソンが仕事やプライベート、ちょっとした打合せや息抜きで使うお気に入りのカフェや場所をご紹介するコーナー。今回はなんと居酒屋。UZUZ・土田さんのお気に入りの居酒屋は「淀橋酒場 きんや」。
東京都は西新宿、京王新線初台駅近くの居酒屋に行ってきた。
われわれ取材陣と土田さんはさすがに勤務時間のため、お酒も焼鳥もいただく訳にはいかなかったが、カウンターもテーブルもお店のマスターも心地よい雰囲気の居酒屋で、ぜひ仕事あがりに立ち寄りたいと、心の底から思ったのである。(本当にお酒は飲んでません。。)
PRマガジンの読者である広報女子も男子も、ぜひ利用してみてほしい。
■お店の情報「淀橋酒場 きんや」
東京都 新宿区 西新宿 4-36-13 松原ビル 1F
TEL:03-3320-6233
■営業時間 18:00~24:00
※詳しくはお店まで。
■定休日 土日・祝日