「ひとり広報」から「チーム広報」へ。成果を出す、その運営方法とは?

スタートアップやベンチャー企業などでは、広報の仕事を1人で担当する「ひとり広報」という状態は決して珍しくありません。何を隠そう、当社・株式会社ニットにおいても、それまで社長自らが行っていた広報バトンを突然託された私、小澤の「ひとり広報」からはじまりました。そんな当社も、現在では3人体制の広報チームとして活動しています。海外在住メンバーを含め、完全フルリモートでうまく連携しながらチームを回しています。

「ひとり広報」からスタートした私が、今のチームをどのように作り上げたのか、運営におけるポイントをまじえてお話します!

成果に結びつく! 強みを生かした役割分担

まず、チームとして成果を出すために重要なことは、それぞれの役割を分担し、それを全うすること。私たちのチームでは、以下のように役割を分担しています。

広報チーム内の役割分担
小澤:戦略立案、商談、取材調整、登壇、セミナー講師(営業、マーケティング、採用周りも兼ねている)
メンバーA:ライティング(プレスリリースや寄稿)
メンバーB:世の中の潮流をとらえるためのリサーチ、SNSエゴサーチ、校正

例えば、プレスリリースやメディアへの寄稿文などの執筆業務を行う場合のフローはこのようになります。

ひとり広報が効果的に遂行する役割分担
小澤:企画内容を思考 → メンバーA:記事として執筆(小澤noteのリライト) → 小澤:チェック → メンバーB:校正、入稿、分析

これら一連の流れを、スピード感をもって実行しています。

見出し:チーム運営で大切なのは、目的と目標を見失わないこと
リソースが限られている中で、各々が最大限にパフォーマンスを発揮するには、「自分たちがどこへ向かって進んでいるのか」をチームとして意識することが重要です。例えば弊社では、メンバーの事情を踏まえ、3か月に1度の1on1ミーティングで業務内容について認識をすり合わせながらチームを運営しています。

チームとしての目標を設定し、そこからの役割分担ができれば、互いの強みを発揮し合い、自ずと成果に結びつくものです。

さらに、「目標を掲げて終わり」ではなく、達成できた場合、あるいは達成できなかった場合に、その理由にしっかりと向き合い、ネクストアクションにつなげることまでが大切です!このステップを忘れてはいけません。

ちなみに、私たちのチームの特徴は、「徹底的な分析」をこまめに行うこと!これは、営業職一筋だった私ならではの手法かもしれません。PDCAのDOがとにかく多いため、そのDOのチェックを業務フローに組み込み、意識的に行っています。例えば、プレスリリースの効果や、SNSの反響についてチェックし、狙い通りにいっているのかどうかをその都度分析し、次の行動につなげています。

チーム運営において大切なポイント7つ

メンバーそれぞれの役割が分担できたら、それを円滑に運営するための環境作りが必要です。私たちの広報チームでは、以下の要素を取り入れています。

1)ワークシェアリング

誰かが急に稼働できなくなったとしても、他のメンバーがフォローできる体制でなければいけません。そのためには、普段からチームメンバー同士が常に気を配り、ヘルプが必要なときには「助けて!」と言い合える雰囲気作りが重要です。

2)タスク表の作成

タスク表を作成し、他の人に依頼したい内容を各メンバー欄に記入する方式をとっています。これにより、前項の「ワークシェアリング」も円滑に進みます。

また、チャットだと過去のメッセージがどんどん埋もれ、相手が依頼自体を見逃す可能性があるが、タスク表に書き込む方式にすることで、対応漏れの心配がなくなります。

3)早めの報連相

業務の遂行に支障が出そうになった時点で早めにメンバーに共有するということは、メンバーがいつも心がけておくべきです。
家族の都合や体調不良などで、自分の業務が滞りそうな場合は早めにリーダーに相談。その上で、タスクの優先順位を改めて整理していきます。こうすることで、優先度の高い業務を前倒しで行ったり、対応が難しい場合には他のチームメンバーへ引き継ぐことができます。

4)当事者意識をもつ

気付いた人が、気付いたタイミングで対応するというのもチーム運営では大事なポイントです。「誰かがやってくれるだろう」と放置していたら、それが流れてしまう危険性もあります。自分の仕事をオーバーラップしながら、お互いにフォローし合いましょう。

5)テキストコミュニケーション力

特にリモートワークの場合は、圧倒的にテキストコミュニケーションが増えます。「相手に伝わるか」「分かりやすいか」「気持ちよく仕事ができるか」といったテキストコミュニケーション力は磨く必要があります。

6)メンバーの働き過ぎを防止

私たちのチームでは、毎月メンバーの稼働状況モニタリングをし、メンバーが何にどのくらい時間がかかったのかを把握します。メンバーが各自時間管理ツールを使用し、日々の業務時間を管理しているので、この週次・月次の結果を定例ミーティングで報告してもらっています。これは、メンバーの働きすぎを確認するためです。
いくら好きな仕事でも、オーバーワークになってしまえば、それはストレスでしかありません。一番大切なのは、メンバーみんなが、健康的に楽しく仕事をすることです。

7)ポジティブなフィードバック

メンバーの一人ひとりが『楽しい』と思えるチームづくりを目指している私たちのチーム内では、ポジティブなワードがいつも飛び交っています。苦しいばかりでは、せっかくの強みやスキルも発揮できません。ポジティブなフィードバックは、チーム全体が目標を追い続ける上では欠かせません。

このような環境の中で、1人1人が当事者意識を持って行動することがチームの圧倒的強さを作るのだと思っています。

マネジメントポリシーを明確に

事業戦略を成功に導くチームになるには、業務目標だけでなく、広報チームとしての共通したマインド、いわゆるカルチャーを創り、大事にしながら業務に取り組むことも忘れてはなりません。メンバー全員が足並みを揃え、一緒に目線を合わせて進むことで、助け合いながら一つのゴールにたどり着くことができるのです。

これからチーム運営をしようとお考えの方のご参考に、弊社の広報チーム全員に共有、意識して伝えているマネジメントポリシーを紹介しておきます。

①質よりスピード
→とにかく広報はスピード命。まずは30%でいい。みんなで100%にしていこう!

②迷ったら、「迷っている」と言ってくれ
→悩んでいる時間が勿体ない。

③攻める戦略メンバーでいてくれ
→上司とか関係なく、先回りでどんどん物申してくれていい。

チームワークは大きな成果につながる

「ひとり広報」からはじまった株式会社ニットも、今は広報チームとして、高い目標を追い続けています。このような良いチームワークを作り上げたことは、会社として多くの賞を受賞するなどの成果にもつながっています。

例えば、2021年には、総務省が実施する「テレワーク先駆者百選」の「総務大臣賞」を始めとした数々の賞を受賞しました。

▶第7回 ホワイト企業アワード 働きがい部門
▶日本サブスクリプションビジネス大賞2021 特別賞
▶第4回 WOMAN’s VALUE AWARD 優秀賞
その他多数受賞!

フルリモートの弊社広報チームですが、対面の場合でも広報チームの作り方は基本的には同じです。互いの強みを認め合い、生かし合うチーム作りが大きな成果につながります。これから広報チームを作り上げるぞ!という方の参考になれば幸いです。

執筆者プロフィール

株式会社ニット(https://knit-inc.com/
小澤 美佳

リクルートで10年間、営業マネージャーやリクナビ副編集長として勤務した後、中米ベリーズへ移住し起業。2019年に株式会社ニットに転職し、2020年7月より広報担当となる。副業で大学の非常勤講師として、キャリアや就職の授業を担当。
Twitter:@mica823