【セミナーレポート】 週刊誌やWEB媒体に取材してもらうコツとは? 登壇者:『bizSPA!フレッシュ』編集長・詠(ながみ)さん

ついに始まったPRマガジン主催オンラインセミナー。
8月11日に開催した「メディアセミナー」の第一回には、立ち上げからわずか2年で1100万PVを超える若手ビジネスパーソン向けWEB媒体『bizSPA!フレッシュ』の編集長・詠(ながみ)さんをお招きし、週刊誌やWEB媒体に取材してもらうコツを伺いました!

WEB媒体に取材してもらうにはPVが取れるネタを!

bizSPA!フレッシュで最近反響のあった記事

bizSPA!フレッシュで最近反響のあった記事

まず、本題に入る前に、最近反響のあった記事を紹介させていただきます。

赤字200億円でもヒット作連発、「ABEMA」番組Pに聞く「勝算はあるのか?」
https://bizspa.jp/post-324012/

こちらの記事は、もともとプレスリリースをきっかけに取材をすることになりました。
でも、元のリリースは「自粛要請で行き場を失ったアーティストとすべてのエンタメファンをつなぐ。大きな打撃を受けるTOKYOカルチャーシーンを代表する“アーティストとクラブ”が結束」という記事とは全く異なるリリースでした。

なぜ、このような記事を書いたかというと、「abemaTV200憶円赤字」というのはトレンドだったからなんです。なので、タイトルは、トレンドに即したワードにしているのですが、内容を読んでいただくとリリースに書かれている内容にも触れていることがお分かりいただけると思います。

このようにWEB媒体の取材は、こういうふうに変えれば読まれるなと思えば、取材は結構します。具体的な話はまた後程しますね。

週刊誌に取材してもらうには「媒体の特性と編集のニーズ」を生かしたネタを!

週刊誌の取材は難しい。理由は3つ

週刊誌の取材は難しい。理由は3つ

一方、週刊誌の取材がなぜ難しいかというと、理由は大きく3つあります。

①企画決定までのプロセスが長くて複雑
②雑誌のカラーや連載テーマに沿ったネタが求められる
③取材期間(締め切りまで)が限られている

詳しく解説すると、SPA!の場合の進行は…

ネタ集め
 ↓
企画会議(週1回行うが、編集者不在で行われることも多い)
 ↓
取材(2週間から1か月かけて行われることが多い)
 ↓
原稿に起こし入稿
 ↓
初稿(初稿戻し)
 ↓
再校(校了)
 ↓
発売

というプロセスで1か月くらいかかります。
この中で上手いタイミングで編集者と連絡を取るというのが難しいと思います。企業広報やPR会社から情報提供してもらっても「あと1週間早ければね~」みたいなことがよくあります。

週刊SPA!でいうと、特集のバランスも重視しています。

ターゲットはアラフィフで、カラー特集、モノクロ特集、マンガ、コラムで構成されているのですが、特集に関しては、社会派(貧困、コロナ)、マネー(副業、投資)、恋愛(モテ、マッチングアプリ)などでバランスよく構成するようにしています。特集記事で取り上げてもらいたいと思っても、媒体が企画したテーマに沿う案件でないとなかなか取材は実現しません。

企業から提案いただく際は、これらのテーマに合った取材先や人物をご紹介いただくというのも手の一つだと思います。あとは、モノ系のPRをされている方であれば、モノを紹介する連載コーナーにアプローチをすると取り上げられる可能性があります。その他はプレゼントページもあるので、プレパブを検討できる企業は検討されても良いかもしれません。

しかし、全て「タイミング次第」とハードルが高いです。その分、掲載されたときのインパクトは大きいと思います。

週刊誌とWEB媒体では好まれるネタが180度違う!

週刊誌向けのネタとWEB媒体向けのネタ。好まれるネタは180度異なる

週刊誌向けのネタとWEB媒体向けのネタ。好まれるネタは180度異なる

週刊誌とWEB媒体で好まれるネタを比較すると以下のようになります。

【週刊誌向けのネタ】

独自性が強い、スクープ性の高い(差別化できるもの)
企画・連載テーマに合致するもの
中高年サラリーマンが好むもの

【WEB媒体向けのネタ】

共感できるもの、話題のネタ
単発記事でもOK
若者から中高年まで幅広い

私が編集長をしている「bizSPA!フレッシュ」は、20代の「身の丈世代」と言われるビジネスマンをターゲットにしているWEB媒体です。
生まれたときから不況で贅沢を経験していないのでコスパ意識が強く、ネットの価格比較サイトをみて自分の身の丈にあった生活を送っているような世代です。

この方たちに対し、ニュースの「ホンネとリアル」を切り口とした情報を届けています。現在、毎日5本の記事をアップし、月間1100万PVのサイトです。

ウェブ編集者のホンネ

ウェブ編集者のホンネ

ウェブ編集者のホンネ

WEBは誌面と違い、何本でも記事を配信できるので、いくらでも記事がほしいというのが本音です。また、企画会議が定期的にないことも多いので、会議を待たずに、その場で取材のゴーサインを出すことができます。取材は早めならだいたいOKです。
では、どんなネタが欲しいかというと、独自性が強すぎても読まれないため「みんなが知っているベタなネタ」です。
その他には、

・ウェブは若手の駆け出しのライターも多いので、そういった方でも取材できるような体験取材
・全て取材するのは大変なので、識者による寄稿や書籍1章分を記事にしてもらえる

といった提案はありがたいです。
寄稿や書籍については、また後程詳しくお話しますね。

ちなみに、編集者がどこでネタを探しているか気になるという方もいると思うのですが、基本的には

・SNS
・ネット(2ch、まとめサイト)
・他のメディア(雑誌、新聞、テレビ、書籍)
・街歩き(飲み屋)
・タレコミ(週刊誌などはライター、ネタ元などから)
・広報PR

です。

WEBでPVが取れるネタとは?

bizSPA!フレッシュで読まれる傾向にあるもの

bizSPA!フレッシュで読まれる傾向にあるもの

WEBは読まれた記事、そうでない記事が明確にわかるので、兎にも角にも、なるべくPVがとれるネタが欲しいというのがホンネで、PVを取れそうなネタは取材します。

今のところ、Yahoo!ニュースやスマートニュース、グノシーといった影響力のあるポータルサイトやキュレーションメディアで読まれるネタがPVを取れるネタと言えます。

では、具体的にどういうネタかというと、中川淳一郎氏が『ウェブはバカと暇人のもの(光文社新書)』でも書かれていましたが、

①話題にしたい部分があるもの、突っ込みどころがあるもの
②身近であるもの
③非常に意見が鋭いもの
④テレビで一度紹介されているもの、テレビで人気のもの、ヤフートピックスが選ぶもの
⑤モラルを問うもの
⑥芸能人関係のもの
⑦エロ
⑧美人
⑨時事性があるもの

がWEBでは読まれます。

さらにbizSPA!フレッシュでいうと

・日本国民全体で共感できるもの
・インパクトある数字があるもの(年収1000万円、初競りマグロ3億円など)
・ビジュアル映えする写真があるもの
・艶っぽいネタ(不倫、パパ活、夜の仕事)
・ポジティブよりもネガティブ(借金、失敗談)
・ネットミームに合致するもの(3色チーズ牛丼)

といったものが読まれる傾向にあります。

いくつか実際の記事をもとに紹介します。

国民全体で共感できる例

まとめさんというファッションYouTuberに寄稿いただいた「ユニクロのビジネスアイテム3選。1990円ネクタイの品質に驚いた」。ユニクロの記事は毎回によく読まれ、この記事も非常に読まれました。

インパクトある数字の例

「200万円の腕時計をレンタルで身に付け、何人に気付かれるか実験した結果」という記事を書いた際、1週間で36万PVを獲得し、レンタルサービスの会社からは、会員登録者数が通常の7倍、申込みが10倍になったとの連絡をいただきました。

艶っぽいネタ×インパクトある数字の例

「元キャバ嬢が8000万円営業ウーマンに。異色の『転職サイト』の舞台裏」という記事を公開した直後から問い合わせがすごいことになっていると転職サイトの方から連絡が入りました。

ネットミームの例

「新型iPhon11が『装甲騎兵ボトムズ』と激似。サンライズに感想を聞いたら最高の答えが」ははてなブックマークでまとめられたり、Twitterでもたくさんの方がつぶやいてくれ200~300いいねやリツイートをしてもらえました。

WEBニュースは、やはりYahoo!ニュースに転載されると反響が大きいため、我々もYahoo!ニュースへの転載を意識しています。Yahoo!ニュースでピックアップされやすいものは

・公益性があるもの(事件事故、災害)
・ストレートニュース(企業、スポーツ)
・芸能スキャンダル
・ローカルなネタ
・専門家の分析があるネタ
・企業の代表、広報のコメントがあるネタ
・話題になっている企業、商品のトリビア
・世の中のニーズに合致した商品

といった内容です。

例えば、世の中のニーズに合致した商品という意味では、オリオンビールの社長にインタビューし「脱・ストロング缶」という世の中的にも問題になっているテーマで記事を公開したところ、ヤフトピに掲載されました。

また、話題の企業のトリビアでいうと、「サイゼリア、利益の源泉は中国依存…快進撃の裏側に迫る」という、こういった内容に詳しい専門家に寄稿いただいた記事が同じくヤフトピに掲載され、Yahoo!ニュース 個人コーナーで寄稿しているような専門家や有識者(オーサー)がコメントを書き、そこから議論が新たに始まるという現象が起こりました。

ヤフトピはアルゴリズムではなく、ある程度人力で何を取り上げるか選んでいるので、全部がセオリー通りに行くわけではありませんが、傾向として参考にしていただくと良いと思います。

文章が書ける専門家のニーズあり

「bizSPA!フレッシュ」は、20代の「身の丈世代」と言われるビジネスマンをターゲットにしている

「bizSPA!フレッシュ」は、20代の「身の丈世代」と言われるビジネスマンをターゲットにしている

先ほど、取材しやすいテーマについてお話しましたが、どの企業もこれらの話題も持ち合わせているというわけではないと思います。その場合は、文章が書ける専門家をご紹介いただけると非常にありがたいです。

時流や社会問題などに合わせ、こちらからテーマを出し、執筆いただくというケースも多々あります。
また、書籍を出版されている方であれば書籍のバラシ(転載)記事です。

書籍の中のどこか1章のテーマを記事化するのですが、書籍になっている時点でそもそもクオリティが高いですし、原稿を書いていただけるということで非常にありがたく、著者インタビューよりもこちらのほうが掲載確度が高いと思います。他の出版社さんから出ている書籍でもこの方法で記事化し公開しているものもあります。
こういった書籍のバラシ(転載)記事も結構読まれています。

WEBは150本中15~20本ヒットしたらよいという世界

8月11日頃のbizSPA!フレッシュのリアルタイムPV

8月11日頃のbizSPA!フレッシュのリアルタイムPV

先週末のデータなんですが、リアルタイムで5481人がbizSPA!フレッシュのサイトを訪れていました。これは非常に多いと言えるのですが、このときの記事別ランキングが、

1位「ドラマ『半沢直樹』で、20代がドン引きした場面5つ「オフィスで妻に電話って…」(2104人)」

2位「球団は『前代未聞だ』。22歳の中日選手が1年で引退した理由(2067人)」

という結果でした。

1位の半沢直樹の記事は非常に当たり、Yahoo!ニュース雑誌ランキングのライフカテゴリでも1位となりました。

一方で、読まれない記事はとことん読まれません。bizSPA!フレッシュの場合、1日5本公開しているので、1か月でだいたい150本の記事を公開しているのですが、その中で15~20本ヒットする記事を出せたら良かったねという世界です。

内訳でいうと 

・圧倒的に読まれる記事2,3本(ホームラン級。30万PV超え)
・そこそこ読まれる12~20本(長打級。10万PV超え)
・最低限読まれた60本(ヒット。1万PV~)
・全く読まれなかった残りの記事

という感じですね。

編集者にアプローチするにはどうしたらよい?

広報から取材してもらうコツ

広報から取材してもらうコツ

電話(個人、会社)、メール(個別、一斉)、直接会う、リリース(メール、FAX)、献本(著者、専門家の場合)という方法が一般的ですが、アプローチの仕方は、編集者との関係性や状況にもよるので正解はありません。ただ、「流行りのネタ」でアプローチするというのは間違いじゃないと思います。

“夏にエアコンネタ”や“今であればコロナ関連のネタ”などですね。

よくあるけど、あまり意味のないアプローチの仕方としては

・とりあえず一斉メールを送る
・編集部に(その媒体特性に合っていないテーマの)〇〇担当の方いらっしゃいますか?と電話
 ※担当があまりわかれていない媒体も多く、また誰がその記事を書いたか編集部内で把握できないこともある。
・(媒体特性にもよるが)発表会、イベント取材の電話
・新商品情報だけのリリース(専門家など取材候補がない)
・いきなり個人の携帯電話にかけてくる

といったことです。

広報の方からのアプローチで取材に結び付きやすいと私が思うのが

・編集者に合わせた個別メールを送る
 ※一斉メールより、媒体特性を踏まえて個別に提案してくれるほうが取材につながりやすい。
・直接会うよりもまずは電話で
 ※いきなり会うより、電話やメールで話を詰めてからお会いする方がベスト。
・一度ダメでもタイミング次第で企画が動く
・切り口は複数提案
・当たった企画はもう一度(翌年に)提案
・独自性の強さより、流行りのネタ
・いきなりFacebookやTwitterのDMも意外とアリ(ライターにも)
 ※匿名でTwitterをやっている場合は、身分を明かして連絡してほしい。

といった方法です。

ネットニュースの現状

編集者と広報とはWin-Winな関係

編集者と広報とはWin-Winな関係

WEBの記事は本当にいろいろな方が見ています。商品やサービスを紹介するとすぐステマじゃないかというコメントが発生するんですね。なので、我々も

・取材するもっともなきっかけ(動機がある)
・他社の商品やサービスについても触れる
・べた褒めではなく、ちょっとしたディスり。批判的な質問がある

といった点は意識しています。

そして昨今は、WEBメディアが乱立し、圧倒的な過当競争になっています。ポータルサイトのコンテンツ供給マシーンなのじゃないかと思うことも。(笑)
何よりPVを意識し、SEOのアップデート対策に翻弄されたり、どこも似たような記事(タイトル)を出したりというのが現状です。

その一方で、PVだけを意識していて良いのか?という意見も出てきており、ウェブ編集者自身もPVが取れる「ベタな記事」と「ニッチな記事」のバランスに悩んでいます。私自身、PVが取れるネタだけではなく、「ニッチだけど意味のある良い記事」は出していきたいと思っています。

全体通して「PV」「PV」言っておいてなんですが、こういった現状なので、読まれなさそうな(PVが取れなそうな)ネタでも案外ハマる瞬間があるかもしれないので、是非積極的に提案してほしいです!

編集者はネタを選ぶ立場ではありますが、広報の方とはWin-Winな関係を築けたらと思っています!

今回のオンラインセミナー登壇者プロフィール

「bizSPA!フレッシュ」編集長、詠シルバー祐真さん

「bizSPA!フレッシュ」編集長、詠シルバー祐真さん

詠シルバー祐真(ながみシルバー・ゆうま)さん

1990年1月生まれ。2012年扶桑社入社、2014年週刊SPA!編集部配属、2018年「bizSPA!フレッシュ」創刊&編集長。

媒体情報『bizSPA!フレッシュ』(https://bizspa.jp/)

『週刊SPA!』編集部が運営する、20代ビジネスマン向けのニュースメディア。
”身の丈世代”と言われる高望みをしない世代に向け、ビジネスニュースの「ホンネとリアル」、SNS・ネットで話題の「トピックス」をとっつきやすく、誰かに話したくなるような切り口で発信。2018年に立ち上げてから、わずか2年で1100万PVを突破している。