2010年春の番組改編に見るテレビ局の厳しい状況

こんにちは。
さて、3月半ばとなり、そろそろ気になるのが
桜の開花と番組改編です。
各報道ではテレビ番組改編のニュースが出そろいました。
これらを見ると、テレビ局がどのようなことを考えているか、
置かれている状況や狙いが見えてきて興味深いです。
それでは、どのような改編が予定されているのでしょうか。
NHKから見ていきましょう。
●NHK 「あさイチ」にV6の井ノ原快彦氏を起用
NHKでは、朝の連続テレビ小説を15分繰り上げて8:00~とし、
8:15から情報番組「あさイチ」が始まります。
そのキャスターにはV6の井ノ原快彦氏を起用します。
毎朝、NHKの番組にジャニーズのタレントが登場するというのは、
新鮮な印象があります。思い切った改編と言えるでしょう。
民法各局はどのような改編を予定しているのでしょうか。


民放各局の春の主な番組改編は次の通りです。
最も大きな改編を予定しているのはTBSです。
●TBS 「総力報道!THE NEWS」を打ち切りバラエティに回帰
昨年「報道に力を入れる」として2009年3月30日から肝いりで始まった
大型報道番組「総力報道!THE NEWS」が、1年で打ち切りとなりました。
18:40~19:50と、ゴールデンタイムに報道番組を進出させる挑戦でした。
ところが、この時間はNHKの定番報道番組「ニュース7」の時間帯。
視聴者を取り込めないまま視聴率は低迷していました。
TBSは今回、この失敗をカバーするために「原点回帰」を掲げ、
19時台はバラエティ番組に戻します。
新番組として「紳助社長のプロデュース大作戦!」(火曜19時) 、
「世界笑えるジャーナル!」(水曜20時)など、
島田紳助やTOKIOの国分太一の起用で視聴率回復を図ります。
「総力報道!THE NEWS」と「イブニングワイド」に代わる
ニュース番組として「Nスタ」が新たに始まります。
また「NEWS23」も拡大して「NEWS23クロス」となります。
韓国で最高視聴率39.9%を記録した、イ・ビョンホン主演のドラマ
「IRIS」を水曜21時に投入します。
また、木曜19時からの2時間はローカル枠にあてます。
プロ野球球団を抱える局を中心に、地方局からの要望が強かったことが
理由とされています。これほど長い時間をローカル枠に充てるのは
初めてとのことです。
●テレビ朝日 「サンデープロジェクト」が終了、小宮悦子氏を起用
日曜10時に21年間続いた「サンデープロジェクト」が終わります。
新番組は「サンデーフロントライン」。
小宮悦子氏がキャスターとなり、女性の取り込みを図ります。
「報道発ドキュメンタリ宣言」を月曜19時から土曜17時に移動。
代わりにタカアンドトシの深夜番組だった
「もしものシミュレーションバラエティーお試しかっ!」が移ってきます。
水曜20時には池上彰氏によるニュース解説番組
「そうだったのか! 池上彰の学べるニュース」が復活。
●日本テレビ 女性や家族の取り込みを狙う
平日夕方の「リアルタイム」を「news every.」として
女性の取り込みを図ります。
平日19時台の生番組「SUPER SURPRISE」を強化。
月曜に哀川翔が司会の「不可思議探偵団」、
水曜には「密室謎解きバラエティ脱出ゲームDERO!」を投入。
家族での視聴を狙います。
●テレビ東京 お笑い芸人をゴールデンに
テレビ東京では「田舎に泊まろう!」が打ち切りとなります。
代わりに「モヤモヤさまぁ~ず2」が日曜19時から放送となります。
金曜19時の「ペット大集合!ポチたま」も終了し、
お笑い芸人のはんにゃやフルーツポンチによる「ピラメキーノ」を
19時台へ拡大します。
●フジテレビは宮根誠司氏、木村拓也氏で従来路線を強化
フジテレビは今回、「胸キュン」を今回の改編キーワードに掲げています。
月9では木村拓也が10年ぶりにラブストーリーに出演します。
金曜23時には恋愛ドキュンメントバラエティ「すごキュン」が始まります。
また、「ミヤネ屋」で全国区となった宮根誠司氏をキー局初のレギュラー起用。
滝川クリステルとともに日曜22時の「Mr.サンデー」のMCを務めます。
「人志松本の○○な話」が火曜23時から土曜19時に移動となります。
以上が各局が打ち出した主な改編内容です。
これらから何が読み取れるでしょうか。
以下にまとめました。
1)ゴールデンタイムの報道からバラエティへのシフト
TBS「総力報道!THE NEWS」の打ち切り。
テレビ朝日の「報道発ドキュメンタリ宣言」の土曜シフト。
これらから、報道番組では視聴率が取れないということが
浮き彫りになりました。そして、より視聴率が期待できる
バラエティ番組にとって代わられました。
2)お笑い芸人の多用で収益改善を狙う
ゴールデンの時間帯にバラエティ番組が増えたため、
お笑い芸人の起用も増えました。
お笑い芸人は制作費をかけなくても視聴率がある程度とれます。
また、DVDの販売による増収効果も期待できます。
お笑い芸人の多様は、テレビ局が収益改善を狙っていることの表れです。
3)TBSとフジテレビ、局による状況の違い
TBSは、昨年は報道に注力すると発表しましたが、
今年はバラエティーに回帰しようとしています。
視聴率低迷を乗り越えようと模索して、回り道をしたようです。
一方、フジテレビは6年連続で視聴率三冠王を達成しただけに、
基本路線は変えず、宮根誠司氏や木村拓也氏などによって
既存の番組ラインアップを強化しようとしています。
TBSは今後、この劣勢をどう挽回するか。
フジは視聴率三冠王を更新するのか。今後に注目です。
これらの番組改編の目的は、視聴率、ひいては広告(CM)の獲得です。
2月22日に電通が発表した「2009年日本の広告費」によれば、
テレビ広告費は前年比10.2%減少したそうです。
http://www.dentsu.co.jp/marketing/adex/adex2009/_outline.html
テレビ局は引き続き厳しい経営状況にあることが分かります。
その中で、収益改善に向けて各局が打ち出した、春の番組改編。
吉と出るか凶と出るか、見守りたいと思います。

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