コンティンジェントな要素に学ぶ、PRマーケティング

こんにちは。
6月も中旬、すでに「プール開き」をした学校や、
いよいよ「プール開き」といった学校も多いのではないでしょうか。
ところで、「プール」といえば、次のような研究結果が報告され、
新聞等で報じられたことはご存じですか?


その内容は、眼科医師や大学眼科からなる研究チームが実験で、
「プールの後の洗眼は悪影響である」ことを明らかにしたというものです。
より詳細を言えば、塩素消毒したプールで泳いだ後に水道水で目を洗うと、
これらに含まれる塩素が角膜上皮を傷つけることを実証したというものです。
なお、この研究については、2月22日の毎日新聞(朝刊)をはじめ、
3月1日の産経新聞(大阪夕刊)や3月3日の北海道新聞(朝刊)など、
新聞記事を中心に報じられました。
これらの記事はプール時における眼の安全について注意を促すものですが、
視点を変えれば、PRの観点からも興味を引く内容でした。
ではなぜそう言えるのでしょうか?
再度、研究の内容を確認しますと、塩素が溶け込んだプールの水や水道水が、
プール後の洗眼の際に角膜上皮を傷つけることを実証したものです。
したがって、この実証データに基づくプール後の洗眼についての根本的な
対応策としては、理論的には
「プールの水や洗眼の際に使用する水に塩素を使用しないでください」
とすれば問題ないはずです。
しかし、研究チームの研究者が出した対応策は、
「プールで泳いだ後に目を洗うのではなく、ゴーグルをつけてほしい」
というものでした。この対応策は、一見ごく当たり前の見解として
受け止められてしまいそうですが、PRの視点から考えてみる価値があるのです。
例えば、仮にあなたがゴーグルメーカーの広報担当者であるとしましょう。
ゴーグルの販売促進のため「プールで泳ぐ際にはゴーグルを」といった
キーメッセージを発信しようとする場合、研究者チームの実験データという
客観的評価、お墨付きを得ることになります。
当初は営利的な活動としてしか映らなかった販促キャンペーンやキーメッセージが、実験結果によって、中立性や信頼性を獲得しやすくなり、社会的な意義を得て、より生き生きとした活動やキーメッセージとして受け取られることになるのです。
その結果、ニュース性の高い情報、読者に価値のある話題としてメディアに取り上げられる可能性も高まり、世の中に波及効果をもたらすことにもなります。
また、仮にあなたが販促キャンペーンの初期段階から以下の2つの情報を知っていたならば、イシューブランディング(ある商品が解決する問題自体を啓発することで、結果として商品の認知度や売上アップをはかるコミュニケーションの考え方)を含んだより高度なPR戦略を練ることができたはずです。
【情報①】
眼科医の間ではプール後の洗眼が従来から問題視されていた。
ただ根拠となる研究が少なかったため、塩素が角膜上皮を傷つけるとの実証的確実性を欠いていた。
【情報②】
現行の水道法においては塩素消毒が義務づけられ、衛星管理上の目的から施工規則において蛇口の残留塩素量が定められている。
つまり、この2つのことから、プールの水や水道水に塩素が含まれること自体は避けられないということ。したがって、塩素が角膜上皮を傷つけるとの実証データさえ裏付けることができれば、「プールで泳いだ後に目を洗うのではなく、ゴーグルをつけてほしい」との対応策が出される蓋然性は極めて高いという仮説を導くことができます。
この結果、あなたは研究者の対応策を事前予測し、競業他者のどこよりも優位な立場で、PR戦略を進めることができることになります。
さて、あなたがPRパーソンだとしたら、上記の新聞記事についてどのようなPR戦略を想像されたでしょうか。なかなか想像が膨らむところです。
私としては、PR戦略を策定する際に、これまでであればイシュー設定やその実証データを用意するだけに留まってしまうこところです。しかし、今回の記事を読んで、研究者のコメントなどコンティンジェントな(将来の不確定的な、偶然的な)要素について、仮説を事前に立てその影響力の及ぶ範囲を見極めたうえで、イシューブランディングのような高度なPR戦略を実行していくことが必要であることを、改めて実感しました。
いよいよプールの季節に入ります。このメルマガを購読されている方の中には、ご家族を含めプールに行かれる方も多いかと思います。
安全にはくれぐれも留意され、プールを楽しんでいただきたいと思います。

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