キャンドルナイトキャンペーンに学ぶ「伝え続ける」PR戦略

こんにちは。
7月7日、夜空見上げて、いつもよりも、星がきれいに見えると感じた方がいたかもしれません。7日、北海道洞爺湖サミットの開催にあわせ、国内76000箇所でライトダウンなどのイベントが開催されていました。この話題は数日前からメディアでも大きく取り上げられていました。
2008年は京都議定書のCO2削減義務の実施開始年でもあり、特に「エコ」に関するキャンペーンやイベントが注目を集め話題となっています。
このような社会貢献の意味合いの強いキャンペーンは過去にも数多く企画・実行されてきました。


2005年に事務局が結成され始まった「ほっとけない世界の貧しさ」というキャンペーン(http://www.hottokenai.jp/pub/)では、「3秒に一人が貧困で命を落としている」というメッセージを伝えるクリッキングフィルムを作成し、そのメッセージ性と世界各国の著名人が出演したことで話題となりました。
さらに、「貧困をなくそう」という意思を表すものとして「ホワイトバンド」の販売を行い、その売上は実に465万本の売り上げがあったとの報告が出されています。
しかし今、ホワイトバンドをしている人を見ることはほとんどありません。
その理由の一つとして、ホワイトバンドの売上げ金の使い道やその団体の信頼性について、疑問や不信の声が高まるということがありました。
疑問と不信の声の高まりとともにこのキャンペーンの勢いは下火になり、その後情報発信の機会も激減していったのです。
※ホワイトバンドキャンペーン実行委員会では今年、「ほっとけない世界のまずしさ 社会責任報告書2008」を発行
このように、社会的意義を持つキャンペーンやイベントには、一時的な盛り上がりで終わってしまう傾向が多く見られるのです。つまり、「一過性キャンペーン」なのです。
この「一過性」という問題は、広報活動においても常に課題となる問題です。なぜ、「一過性」という問題が起きてしまうのでしょうか。また、継続的にメッセージを届けるには、どうすればよいのでしょうか。
ここで注目すべきキャンペーン活動「キャンドルナイト」を紹介したいと思います。
今回の北海道洞爺湖サミットの開催時期と近かったこともあり、いつも以上に注目を集めています。
2003年の夏至の日から始まった「100万人のキャンドルナイト」。
http://www.candle-night.org/jp/index.html
1か月に一基ずつ原子力発電所を建設するという米ブッシュ大統領の政策に反対する「カナダの自主停電運動」をヒントに、明治学院大学教授の辻信一氏が中心となって始めたこのキャンペーンは、夏至と冬至の夜8時~夜10時、電気を消してろうそくの灯りのもとで過ごそうと呼びかけるものでした。
キャンペーン開始から4年目を迎えた今年、キャンペーンは下火になるどころか、回を重ねるごとに賛同者が増え、メディア露出も増えています。すでに定着しつつあるといっても過言ではありません。
著名人の呼びかけでもなく、大手企業の働き掛けやCMなどでの広告活動もなかったこのキャンペーンが、ここまで広く浸透した理由は何でしょうか。
【理由1】「節電」のイメージを変えた
「環境のために節電を」から「電気を消して、スローな夜を」というメッセージに変えて発信し、ろうそくのあかりのもとで家族団らんの機会を持ち、煌々とした灯りの下でPCに向かっている毎日から、少しだけ離れてみようと提案したのです。
「電気を消す=“特別”な時間を過ごせる」という視点がこれまでの「節電」にはなかった明るいイメージを作り、その点で多くの人の共感を得ることに成功したのだと思います。
【理由2】「伝える仕組み」の充実
公式HPでは、キャンペーンを実行するたびに、イベントの様子を公開したり、感想を掲載したり、賛同企業を公開したり、メディア掲載の更新がしっかりとされていたりと、情報が正確に伝わる内容になっています。
さらに、ブログパーツや転送可能なDM写真など、個人がこのキャンペーンを人に伝えやすい仕組み作りがしっかりとなされています。
これにより、初めの一歩を踏み出しやすくし、これまで節電に関心がなかった若者でも参加しやすいということが、大きなポイントとなっているのです。
「誰でも伝えやすい型」をつくることで、口コミが起こりやすくする効果を生むのです。
【理由3】信頼性
一般の人の書き込みが全国から寄せられている中で、環境省がこのキャンペーンを一緒に進めている、という事実も、信頼を勝ち得た大きなポイントと言えるでしょう。
例えば、企業をPRする際、その分野の専門家、権威者として、大学教授や研究者とコラボレーションすることで、信頼を勝ち得る比率が違ってきます。これもPR手段の一つです。
キャンペーンに対する誤解や疑問に応え、社会への説明責任を果たすための行動を起こすことで、信頼を勝ち取れば、彼らの活動が継続的に続けることができるのです。
このように、目的を達成する(キャンドルナイトの場合はCO2削減)ためには、継続的に関心を集めなければなりません。そのためには、新たな視点やメリットを提供して、少しの努力と工夫を凝らすことが注目を集め続ける結果に繋がるのです。
今後、みなさんがイベントやキャンペーンなどに取り組まれる際には、上記3つのポイントを参考にしてPR戦略を立ててみてはいかがでしょうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください