広報担当者がついやってしまう「逆効果な情報提供」5選と改善ポイント

企業の広報活動において、メディアへの情報提供は欠かせません。しかし、「できるだけ詳しく伝えよう」「多くの記者に届けよう」という善意の工夫が、かえって記者を遠ざけてしまうことがあります。

私は前職でTVディレクターとして、企業の広報担当者やPR会社から数多くのプレスリリースやメールを受け取ってきました。その中で感じていたのは、「企業にとって伝えたい情報」と「メディアが知りたい情報」には、思っている以上にギャップがあるということです。

せっかくニュースになる可能性がある情報でも、伝え方によってその価値が見えなくなってしまう。それは企業にとっても、記者にとっても「もったいない」ことです。

今回は情報を受け取る側だった経験を踏まえ、広報担当者がついやってしまいがちな「逆効果な情報提供」と、その改善ポイントを紹介します。

メディア担当者が感じる「もったいない広報活動」

TVディレクター時代、さまざまな企業から情報提供を受ける中で多かったのが、企業側が伝えたいことは詳しく書かれているものの、「なぜ今、この情報を取り上げる必要があるのか」が分からない情報提供です。

新商品なら機能やスペック、新サービスなら特徴や企業としての意気込みが並んでいる。しかし、記者やディレクターが知りたいのは、それだけではありません。

「なぜ今なのか」
「どのような社会課題の解決につながるのか」
「視聴者や読者にとって、どんな発見があるのか」

こうした情報がなければ、記者側が取り上げる理由を一から考えなくてはなりません。毎日多くの情報が届く中、すべてのプレスリリースからニュース性を探し出すのは現実的ではありません。

さらに、「なぜこの番組に送ってきたのだろう」と感じるほど、担当番組に合わない情報提供も珍しくありませんでした。

情報そのものが悪いわけではない。けれど、価値が相手に伝わる形になっていない。これこそ、私が感じていた「もったいない広報活動」です。

広報担当者がやりがちな「逆効果な情報提供」

①情報を詰め込みすぎる

「できるだけ多く説明したほうが魅力が伝わる」と考えがちですが、情報量が多いことと伝わりやすいことは別です。

記者が最初に知りたいのは、「何が新しいのか」「なぜ今なのか」「誰にどんな影響があるのか」といった、ニュースとして判断するための情報です。

商品の特徴や開発背景、担当者の思いが大量に並ぶと、肝心のニュース性が埋もれてしまいます。

まず「今回のニュースは何なのか」を端的に示し、そのうえで社会背景や独自性、具体的なデータを補足する。この順番を意識するだけでも、伝わり方は大きく変わります。

②相手に合わない一斉配信をする

多くの媒体に送るほど掲載や取材の可能性が高まりそうに思えますが、重要なのは配信先の「数」ではなく、情報と媒体との「相性」です。

送る前に、その媒体が普段どんなテーマを扱い、どんな視聴者・読者を対象としているのかを確認しましょう。

同じプレスリリースでも、メールの冒頭に「貴番組で以前○○を取り上げられていたため、関連情報としてお送りします」と一言添えるだけで、印象は変わります。

「誰にでも送っている情報」ではなく、「自分に関係がある情報」だと思ってもらうことが第一歩です。

③ニュース性や独自性が伝わっていない

企業側にとって重要なニュースであっても、メディアにとってニュースになるとは限りません。

「新商品を発売しました」「新サービスを開始しました」という事実だけでは、「なぜ今、取り上げるのか」という理由が不足する場合があります。

そこで重要なのが、自社の情報を社会の動きと接続する視点です。

たとえば、「○○という課題が顕在化している。その課題に対して、○○という方法で解決を目指す」と整理すれば、単なる商品紹介とは違った見え方になります。

また、独自性は「世界初」「業界初」である必要はありません。現場の声、自社だから持っているデータ、利用者の変化などもニュースの切り口になります。

「社内では当たり前でも、社外から見れば珍しいことはないか」という視点で見直すことが大切です。

④配信後のフォローをしない

プレスリリースは、配信して終わりではありません。ただし、何度も電話をかけたり、返答を迫ったりするのは逆効果です。

有効なのは、記者の判断材料になる追加情報を届けることです。新しい調査結果、取材可能な専門家、撮影できる現場などがあれば、改めて連絡する理由になります。

特にTVでは、「何を撮れるのか」「誰に話を聞けるのか」が重要です。単なる確認ではなく、「検討材料を増やす」という意識でフォローしましょう。

⑤「伝えたいこと」と「記者が知りたいこと」がずれている

企業から届く情報には、「この商品のここがすごい」「当社はこの技術に力を入れている」といったメッセージが詳しく書かれています。

しかしメディア側が知りたいのは、「なぜ今、この情報を読者や視聴者に届ける必要があるのか」ということです。

企業が「伝えたいこと」だけで情報を組み立てると、広告的なメッセージになりやすくなります。一方、記者は、その情報が世の中にとってどんな意味を持つのかを考えています。

「この情報を知ることで、読者や視聴者は何を得られるのか」
「今の社会にどんな課題や変化があるのか」
「自社だから提供できる事実や視点は何か」

これらを整理すると、「企業が言いたいこと」から「記者が取り上げる理由」へと情報を変換しやすくなります。

記者との信頼関係を築く情報提供のコツ

メディアリレーションというと、「記者との人脈を増やすこと」と考える方もいるかもしれません。しかし、情報を受け取る側だった経験から言えば、信頼は接触回数だけで生まれるものではありません。

大切なのは、「この人から届く情報なら、一度見てみよう」と思ってもらうことです。

情報提供の前には、次の点を確認してみてください。

・この記者・媒体の担当領域に合っているか
・冒頭で「何がニュースなのか」が分かるか
・「なぜ今なのか」を説明できているか
・自社ならではのデータ、事例、人物、現場があるか
・読者や視聴者にとっての価値が示されているか

そして、「今回取り上げてもらえるか」だけで広報活動を評価しないことも重要です。

適切な相手に、適切な情報を、判断しやすい形で届け続けることで、「この広報担当者は自分の担当領域を理解している」「必要な情報を整理してくれる」という信頼が生まれます。

広報担当者に求められるのは、情報を「たくさん送る」ことではなく、「相手にとって価値のある形に編集して届ける」ことです。

「自社は何を伝えたいか」だけでなく、「記者は何を知りたいか」「その先の読者や視聴者は何を知りたいか」まで考える。その視点が、長期的な信頼関係を築く基本になるはずです。

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株式会社コミュニケーションデザイン PRコンサルタント

【ニックネーム】 ナイトウォーカー
【これまで担当した業界】 食品・飲料・医療・美容・自治体関連・出版社
【趣味】 夜の散歩、温泉めぐり
<個人的おすすめ温泉BEST3>
1、宝川温泉(群馬) 川沿いの絶景露天、紅葉や雪の時期が最高です
2、ほったらかし温泉(山梨) 眼下に甲府盆地が広がり富士山も見えます
3、西の河原温泉(群馬) 山に囲まれた日本有数の巨大露天風呂です
【プチ自慢】
テレビディレクター時代に、レオナルド・ディカプリオやミラ・ジョヴォヴィッチなどハリウッドスターのインタビュー取材をしたこと

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