PRの視点を盛り込んだ『CM』とは

こんにちは。
皆さんは、どんなCMがお気に入りですか?
皆さんもご存知のとおり、CMは、企業やその商品の認知向上、
ブランド力を向上させるものです。
伝えたいモノ、コト、ヒトを、CMのたった15秒間(30秒間のものもあります)
で簡潔にわかりやすく伝えるということは、かなり難しいはずです。
しかし、そのCM効果に期待をし、CMの世界を制作するため
多額の金を投じています。
ある意味、社運を賭けています。
しかし、20世紀最大の成功ビジネスだったCMという
マス・マーケティングは、バブルが弾けて以来の経済の停滞、
消費者の変化、インターネットの普及、価値観の多様化などが原因で、
10年前と同じようにはいかなくなったように感じます。
そこで今日は、PRの視点を盛り込んで、
業績アップやブランディングに貢献している、
気になるCMにクローズアップしたいと思います。


業績アップやブランディングに貢献しているCMに
共通するPRの視点とはなんでしょうか。
それは、
1.話題性があること
2.ストーリー性があること
3.共感できること
の3つではないでしょうか。
上記にあげたPRの視点を盛り込み、
業績アップやブランディングに貢献しているCM例を
あげてみます。
CM総合研究所の「注目の新CM」(08年9月前期)にも選ばれた
江崎グリコの大人向けのチョコレートのCM、
『25年後の磯野家』シリーズ。
ワカメちゃんは宮沢りえさん、タラちゃんは瑛太さん。
スーパーカーを乗りこなすイクラちゃんは、小栗旬さん。
そしてカツオは浅野忠信さん、なぜか今でも野球少年。
極めつけは、タマ3代目。
と、とてもユニークなCMです。
ではなぜ、江崎グリコがサザエさんの実写版、
しかも25年後の設定でCMを制作しようとしたのでしょうか。
宣伝対象は、20~30代をターゲットにした
大人向けのチョコレートです。
サザエさんに出てくる上記の4人は
今の20~30代の世代が、子どもの頃に見ていた普遍的なキャラクターです。
かつて子供だった磯野家の4人が、25年後、素敵な大人に成長した舞台を
設定することで、ターゲットであるその世代に
「共感」を持ってもらうことを狙いとしたのではないでしょうか。
上記に挙げたCMにおけるPRの視点
1.話題性があること
2.ストーリー性があること
3.共感できること
に関して、江崎グリコのCMと照らし合わせて検証してみましょう。
1.話題性
・初のサザエさんの実写版CMであるということ
・それが25年後の設定ということ
の2つがあげられます。
2.ストーリー性
既にCMもシリーズ化が決まっており、
ネット上では「誰の法事だ?」
「サザエさんは誰だ?」と話題は絶えず、
続編を心待ちにしている人も少なくありません。
それでは、3の共感できること、はどうでしょうか。
このCMの最後に「あ、大人になってる」という
キーメッセージがあります。
そのメッセージによって、
ターゲットのみならず、視聴者が自分が成長したことに気付かされ、
磯野家の成長した姿に自分の姿を投影し「楽しさ」のようなものを感じたり、
幼少時代への「懐かしさ」などに共感を得ているのではないでしょうか。
現代のように価値観が多様化した消費者に対して、
何かを買わせるというアクションを起こすためには
マスではなく個人に語りかけ、興味を惹きつけるしかけが
盛り込まれていることが必要です。
つまり、視聴者の心に訴えかけるしかけが必要なのです。
その点でこのCMは、CMとPRの相乗効果により、
業績アップ、会社ブランディング力に貢献するCMと言えるでしょう。
CMに対する視聴者の意識が変わってきたこともあり、
CMのクリエイター陣にも、単におもしろいものを創るだけではなく、
しっかりとしたPRの視点を盛り込む、といった変化が起きているように感じます。
江崎グリコの『25年後の磯野家』シリーズだけでなく、
ソフトバンクの『白戸家』シリーズなど、
今後もCMパブリシティーに目が離せません。

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