今回は、個人・法人向けに家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を展開する、株式会社クラスの小林美穂さんに、広報・PRパーソンならではのリアルな企業広報のお話を伺った。
(インタビュー:編集部 若林)
この記事の目次
自分がユーザーになりうるサービスの広報がしたい!
若林:これまで様々なキャリアを歩まれていらっしゃいますが、今に至る経緯を伺ってもよろしいですか。小林さん:私は転職回数が多いので、ちょっと長くなってしまうと思いますが…工業高校の建築科を卒業して、まずCADオペレーターの職に就きました。その後、美容機器の販売やITベンチャーでのエンジニアのアシスタントや営業事務、某大手レコード会社の宣伝部、士業に特化した人材紹介会社のアシスタントを経て、前職である保育ITベンチャーに入社し、そこで、初めて広報の仕事を始めました。
最初から広報だったわけではないのですが、様々なポジションに異動したことで、会社のエンジニア以外のほぼすべての職種を経験し、会社のことにめちゃくちゃ詳しくなったんです。でも、自分のキャリアが何でも屋さんみたいな状態でいいのかな?と考えた時に、誰よりも会社全体に詳しいという強みを活かせる広報という仕事を極めたいと思うようになりました。ずっと兼務で広報をやっていたのですが、プレゼン資料を作って当時の代表に「私が広報担当になると、こんなにいいことがあります!」と直談判して、広報専任担当になりました。
若林:保育ITベンチャーを2020年7月に退職して、CLASに8月に入社されていますよね。また、どうしてですか?
小林さん:自分がユーザーになりうるサービスの広報がやりたかったんです。私は、子どもがいるわけではないので、前職のサービスは、どう頑張っても自分ごとにはなりきれない部分がありました。
CLASを選んだ理由は、転職する1年くらい前に、自己所有のマンションを売却し、引っ越しの際に、前の部屋で使っていた家具のサイズが合わず、お金をかけて新居に持ってきたのにお金をかけてその場で廃棄するという経験をし、そこで部屋に合わせて家具を買うって確かにナンセンスだなという実体験があったことや、建築科の経験とかも活かせるなと思ったからです。CLASについて調べていくうちに、「もう、この会社しかない!」と思うようになり、今に至ります(笑)。
若林:2020年8月に入社された時は、もう広報担当の方がいらっしゃったのですか。それとも、初めての広報として入られたんですか。
小林さん:正社員としては、私が一人目です。業務委託で入っていた方は2人くらいいらっしゃったようですが、現在は完全にひとりです。
認知向上だけでなく、イメージ転換も広報のミッション
若林:広報としては、どういったことをミッションに掲げていらっしゃるんですか。小林さん:「CLAS」の認知度向上です。その中でも3つ軸があります。まずひとつが、弊社の“『暮らす』を自由に軽やかに”というビジョンの浸透です。「所有しない利用」といった、新しい文化の定着化を図ることが目的です。2つ目が、循環型の物を捨てない社会づくり、SDGsの持続可能な開発目標12の、「つくる責任、つかう責任」への貢献です。3つ目は、経営者としての代表・久保の認知向上です。
若林:久保さんは、初代バチェラーとしての認知が高いですもんね。
小林さん:そうなんです。そのイメージが強いんですけど、経営者としても優れた方なので、イメージを転換していきたいと思っています。
若林:コロナ禍での生活様式の変化に伴い、御社は売上が3倍のペースで伸びているそうですね。これだけ世の中のニーズに合わせて企業を成長させられるベンチャーの経営者であるということを発信し、さらに企業としての信頼を高めたり、成長を加速させたいということでしょうか。
小林さん:仰る通りです。あと、私は面接の時から言っているのですが、恐らく世間が抱く久保と本人のキャラにすごく乖離があると思っていまして。世間的には、“シャンパン持って毎晩パーティしている”みたいなイメージあると思うんですよ(笑)。
でも、実際は全然そういうタイプの人じゃないんですね。なので、久保の真面目さや人柄の良さをもっと多くの人に知って欲しいと思っています。
最近はバチェラーのシーズン4が配信され、恋愛のプロとしての取材依頼をいただく機会もあるのですが、CLASの話が全くできないものは辞退させていただくこともあります。
若林:社長のブランディングも転換期ということですね!どういう媒体にどういった内容で出していくかは、広報の力の見せ所ですね!
小林さん:以前に比べると、取材依頼をいただくメディアがだいぶ変わってきましたが、今も経営者として取り上げてもらえるメディアや、インタビューをして欲しいところには、積極的に売り込んでいます。
若林:これまで、小林さんがイメージしていた媒体で露出が実現できた媒体には、どういうところがありますか。
小林さん: NewsPicksの番組出演や、経営者としてのインタビュー記事を複数獲得したことで、だいぶ経営者としての硬派な露出を増やせたのではないかと思っています。
若林:小林さんが経営者としての社長の凄さをメディアに訴求する上で、工夫した点ってありますか。
小林さん:メディアの担当者と、「こういう風なインタビューにしたいよね」と事前に作戦を練って、代表が気持ちよく話せる環境をつくることには、すごく気をつけています。
広報目線ではなく、ユーザーとしての実体験や想いをメディアやSNSで発信
若林:CLASの認知向上が一番大きなミッションで、そのひとつ目がビジョンの浸透という話がありましたが、ビジョンを浸透させるために、広報としてどういうことをされてるんでしょうか。
小林さん:どうしても、家具家電のサブスクとなると、「お得だから借りる」というイメージがあると思います。でもそうではなくて、“CLASを使うことで、送る生活”をイメージしてもらえるような情報発信を意識しています。
若林:具体的に広報としては、どういった施策を展開して、ビジョンの浸透を実現しようとしてるんですか。
小林さん:記者さんとのコミュニケーションの中で、CLASが目指す世界観をどれだけ伝えられるかというところや、弊社だけで「サブスクの良さ」を発信しても、あまり定着しないと思うので、他社の広報の方をはじめ、色々な方と情報交換を通し、裾野を広げていっています。
若林:記者さんにレクチャーする時に、トークとして何か意識していることってありますか。
小林さん:「安い」「お得」という話は基本的にしないということです。実際に私自身もCLASのユーザーで、今リモートワークで使っているデスクとオフィスチェアも借りているので、自分が使ってみて感じたことを実体験として話すようにしています。ちなみに、最初はダイニングテーブルを借りていたのですが、ホームオフィス化したくて小さめのデスクと交換し、その小さめのデスクもさらにL字デスクに交換して、イトーキのオフィスチェアも導入し、とても快適な環境で働いています。こういった実体験から、自分でもCLASのサービスを「めっちゃいい!」と心底思ったので、その時のリアルな感想をSNSでも発信してますし、必ず記者さんにも「交換して初めて、本当の良さがわかる!」と話すようにしています。
若林:転職の理由でもあるところですよね。自分がサービスの利用者となれるもので、いいと思ったものを発信していきたいという。今まさにそれをされているんですね。
小林さん:そうです!だから、広報としてというよりも、実際に自分が使ってすごく良かったので、素直な気持ちで、「デスク届いた、交換した、わーい」と、届くまでのワクワク感とかを必ず話すようにしてますし、私のSNS投稿を見て、割と広報仲間もCLASで借りてくれたりしています。
メディアに情報をキャッチアップしてもらうため、リリース配信のタイミングは秒単位で意識!
若林:小林さんが5~6年、広報をされてきて、業務の中でも、一番自信がある領域って何ですか?
小林さん:私は広報って、仲間づくりが重要だと思っているんです。社外の人も社内の人も、記者さんも、CLASっていいよねと言ってくれる人を増やしていくと、自然とメディアの露出も増えますし、そこが大事だと感じています。
若林:ご自身の体験を通してCLASのファンづくりをされているんですね。ファンづくり、仲間づくりって、どういうことをしながら増やしていかれているんですか。
小林さん:記者さんとのリレーションも、あまり堅苦しくないように意識しています。「寒くなってきたけど、お元気ですか?」とか。もちろん、用事があるから連絡をするんですけど、それだけではなくて、人と人とのコミュニケーションみたいなところが大事かなと。
若林:リレーションがある記者さんとの関係を、より深いものにしていくために、定期的に情報を送ったり、媒体とか記者さんに合わせてコミュニケーションをとられているということですよね。逆に、新規のメディアや記者さんとのリレーションで工夫されていることはありますか。
小林さん:経済誌向けの資料や、サービスを軸にした資料など、媒体に合わせた資料を何パターンか用意しているので、最適な内容の資料を選んで送ったり、どんな情報が欲しいかを聞いたりもしています。
若林:最近、広報の方にお伺いしているんですけど、メディアもリモートが増えてきていて、なかなか、リレーションのない記者さんだと新規で関係を作るの難しいってお声も聞くんですね。何か工夫されてありますか。
小林さん:え、そうなんですか!?新規で関係を作るのが難しいとは、全く感じていないです。私が入社したのは2020年8月なので、完全にコロナ禍ですからね。緊急事態宣言はそれこそ入社後に3回ありましたけど、全然リレーションを作りにくいとは感じていませんでした。
若林:どうやってアプローチしているんですか?
小林さん:実は私、前職の時からプレスリリースやSNS、Wantedlyなど、取材の問い合わせをもらえるようにかなり意識して発信していて、必然的にメディアがキャッチアップしてくれるんです。
若林:普通の発信の仕方と何が違うのでしょうか。
小林さん:ネットニュースをよく読むんですけど、媒体研究をすると、「こういう情報を欲してるな」みたいなのがわかるじゃないですか。たとえばですけど、2021年1月の緊急事態宣言の時は、発令の時刻に合わせて、“おうち時間を応援します”というキャンペーンリリースを出しました。
若林:発令と同時刻で出したんですか?
小林さん:そうです。ニュースを見ながら、「発令された! リリース配信!」みたいな。
若林:少し前から、この日に出そうという情報が飛び交っていましたよね。それに合わせてプレスリリースを用意しておいて、はい出た!はい出す!みたいな、そういう感じだったんですか。
小林さん:そうです。少しでも快適なおうち時間を過ごしてもらうために、何か貢献できないか?ただ、キャンペーンをやるにしても、私ひとりではできないので、そこは社内でリレーションして、キャンペーンを設計する部署と連携して、緊急事態宣言の発令に合わせて出しましょう、と。
若林:リリースと一緒に、TwitterとかFacebookの方でも、同じような情報を発信されてるということですか。
小林さん:そうですね。
若林:じゃあ、リリースやSNSのどれかを見て、メディアの方から取材が入ってくると。
小林さん:そうです。実際に複数のメディアからお問い合わせをいただくことができました。
若林:部署あてに送ったんですか?
小林さん:既にリレーションのある記者さんに直送と、プレスリリース配信サービスを活用して配信しました。ちなみに、いつもプレスリリースを配信した後は、プレスリリースのURLやプレスリリースについて投稿したTwitterとFacebookのURLを社内共有して、シェア拡散の依頼もしています。さらに特にPV数伸ばしたいプレスリリースについては、フォロワーの多い久保個人のSNSアカウントでもシェアしてもらうよう別途依頼しています。今までの経験則から、こういった形で、必要なタイミングで、必要な情報を出せば、必ずメディアからの問い合わせは来ると思っています。
超こだわりの「言葉選び」で、検索性を高める
若林:媒体研究や時流に合わせて自社の情報を発信するという、感度がすごく高いんですね!
小林さん:時流に合わせた発信と、配信サービスを使う際のタグはすごく工夫しています。単語ひとつとってもGoogleでヒットする件数が多いワードをチョイスしたり。
そうやって、なるべく多くの人の目に触れるように、プレスリリースで使う言葉を選んでいます。
若林:ネットやSNSでメディアもいろいろ検索しているんじゃないかという前提で、そこにヒットするような発信を意識的にされてるということですね。
小林さん:取材依頼をいただいたメディアの方には、何で弊社に問い合わせしてくれたか聞くのですが、だいたい「家具のサブスクで検索したらCLASが出てきた」とか、「たくさん情報発信しているのでCLASに聞けば大丈夫かなと思った」と言っていただきます。SEOの効果もあるので、私だけの成果ではないですけど、なるべく必要な情報が弊社に繋がるような発信は意識してます。
若林:話は変わりますが、先ほどWantedlyの話がありましたよね。採用広報もされてるんですか。
小林さん:数字として私の目標には入っていないのですが、結果的にやっていますね(笑)。
若林:採用広報は、どういったことをされてるんですか。人事と一緒にですか?
小林さん:そうです。求職される方に、正しくCLASに興味を持っていただけるような情報をWantedlyのストーリーなどに掲載するようにしています。あとは、記事が出るタイミングに合わせてWantedlyのストーリーを更新するなど、こちらもタイミングはすごく意識しています。
若林:それは何を狙ってですか。
小林さん:検索にたくさんヒットして、Wantedly内でも上位表示させたいからです。
若林:記事が出て、その記事を読んでくれた人が、もし転職を考えていた時に、Wantedlyの記事にも目がいくようにということですか?
小林さん:それもありますし、あと、Wantedlyから記事を見てくれるかもしれないですよね。相乗効果を狙ってます。たとえばですけど、この間も、NewPicksの番組に代表が出た直後に、SNSで「番組を視聴いただきありがとうございました!今こういう募集をしてます」と、採用のURLも添えて投稿をしたり、投稿タイミングはかなり気にしてますね。
若林:それって、経験則からですか?
小林さん:そうです、“鉄は熱いうちに打て”じゃないですけど、せっかくメディアに出すのであれば最大限の効果に繋げたいので、それと同時にSNSを発信したり、Wantedlyも更新したりしています。
若林:なるほど。記事が出るタイミングは広報でコントロールできないですけど、ストーリーやSNSは、広報や会社の方でコントロールできるので、記事が出たら、そこに合わせてアップするみたいな。それをやる前とやったあとで、応募人数が増えたとか、成果って変わりましたか?
小林さん:久保のインタビューを掲載いただいた求人媒体では、めちゃくちゃ応募があったようです。人事が1日で1週間分の応募があったと言ってました。
OKR(Objective and Key Result)は指名検索数~メディア掲載数は追わない
若林:OKR(Objective and Key Result)はどういう風に設定されているのですか。
小林さん:ちょっと珍しいかもしれないですけど、実はメディア掲載数は目標として追ってなくて、社名とサービス名の指名検索数をずっと追っています。
若林:小林さんが入社されてから順調に伸びていっている感じですか。
小林さん:おかげさまで、伸びてます(笑)。資金調達の時は3倍くらいになりました。今は、安定的に入社時の倍以上にはなりました。特にテレビや配信番組に出た時は、出る前日・当日・翌日の検索数がどれだけ変わったのかというのも見ています。
若林:へぇ、すごいですね~!
小林さん:その他は期によって変わるのですが、法人リード数を見ていた事もあります。
若林:法人からの問い合わせ数ということですよね?
小林さん:そうです。プレスリリース経由と、指名検索経由で、どれだけのリードにつながったのかということを法人のマーケティングメンバーと一緒に追っていました。あとは行動目標として、社内広報活動ですね。
若林:それは、たとえば採用広報とかに貢献することで、会社に対して広報としていい影響をもたらそうということですか。
小林さん:そうです。Wantedlyのストーリーは、求職者の方はもちろんなのですが、今、急速に社員も増えているので、社内へのメッセージという意味でも意識して作成しています。
若林:小林さんが、人選やインタビューも全部してるんですか。
小林さん:私は社員インタビューより、株主や役員陣のインタビューを主に行っており、直接メンバーが話す機会の少ない人の声を社内に届けるようにしてます。
資金調達発表の当日、5媒体で同時掲載!ポイントは「事前準備」と「発信内容」
若林:最近一番反響のあった施策や活動って、何ですか。
小林さん:それはもう、先ほどもお話した2021年9月の資金調達です。
若林:2021年9月にリリースが出ていたかなと思うんですけど、この時はどういうことをされたんですか。
小林さん:事前に色々動いて、ITベンチャーとして絶対に載りたいメディアにそれぞれ個別でアタックして、資金調達の発表と同時に、複数のメディアに載るようにしました。
若林:結果、どのくらいの媒体に出ましたか?
小林さん: 発表当日に5媒体同時に出て、その記事を見て、後日問い合わせをしていただいたところがいくつかあった感じです。
若林:資金調達というだけでは、なかなか出すのが難しいのではと思うのですが、工夫したことって何かありますか。
小林さん:仰るとおり、資金調達だけだと興味を持っていただけないと思うので、資金調達をした先に、どういうビジネス展開を目指してるか、どんな世界を実現していくかというところを、代表のインタビューとセットでお伝えしました。
若林:でも当日に5件出るというのはかなり大きいですね!メディア掲載数は追ってはいないかもですが。
小林さん:資金調達時はさすがに追いました(笑)。
広報は会社と社会の架け橋
若林:色々お話を聞かせていただき、小林さん流の広報のあり方が見えてきました!
小林さん:私は、メディアだけでなく社内外のリレーションを大事にしていたり、時流や社会の流れとかを見て、その時に、こういう情報を出したらきっと興味を持ってもらえなというのはすごく意識して取り組んでいますけど、かっこいいことがあまり言えなくてすみません…
若林:戦略があっても結果が出なければ意味がないので。もともとTwitterを拝見していて、人が好きな方でいろんな方と仲良くできる方なのかなと思っていたので、今日お話を聞いて、やっぱりそうだったんだと思いました!
小林さん:私は、本当に楽しく広報の仕事をしているんですよね。記者の方とも普通に、「ちょっとランチしませんか?」という感じでお会いしたり、カチッとした話よりは、「CLAS、超いいんですよー!」という感じでフランクにお話しています。
真面目な話をすると、前職の時から、広報って会社と社会の架け橋のような存在だと思っているんです。会社に肩入れしすぎてもダメだし、会社と社会の両方を見て、必要な情報を繋いでいく存在でありたいなと。人や社会との繋がりをとても大切にしているので、これくらい“ゆるキャラ”な感じが、親近感あってちょうどいいかな?と思いながら励んでいます(笑)。
若林:ゆるキャラみたいな感じって、いいですね(笑)。そういう感じで、記者さんとかも、かしこまった連絡ばかりではなくって、「ご飯行きましょう」みたいな感じでお誘いして、仕事の話もするけど、人と人とで付き合っていくっていうのを大事にされてるんですね。
小林さん:自分で言うのもなんですが、昔から人なつっこい方なんです。そこは記者の人だからと変に身構えないで、接しています。
若林:それが今に繋がってるんでしょうね。いろんな広報の方を取材させていただいて、メディアとのリレーションを得意とされてる方も多いんですけど、コロナ禍で、みなさん今までのアプローチが有効じゃなくなってきて、新しい方法を模索され、うまくいってる方ももちろんたくさんいらっしゃったのですが、最初から「ぜんぜん苦労してないですー」っていう話は初めて聞いたので新鮮でした(笑)。
小林さん:本当ですか?むしろ私、リモートが普及して、すごくやりやすくなったと思ってます。
若林:それは、リモートが普及して、CLAS自体が注目を集めやすくなったからということですか。
小林さん:それももちろんあります。プラス、取材がオンラインなので、久保のような忙しい人の取材もセッティングしやすいし、移動時間もないので、お互いにいい意味で本当に必要な情報のやりとりがしやすくなったと思っています。
若林:今、フルリモートなんですか。
小林さん:フルリモートです。だから、記者さんとかに、「会いましょう」って言ってもらえたら、フットワーク軽くすぐ行っちゃいます。あと、私、メールでもSlackでも、レスポンスがめちゃくちゃ早いです!記者さんも、問い合わせするときって、きっとすぐに返事がほしいじゃないですか。だから、連絡もらったらもう即レスですね!
若林:じゃあ、別に就業時間とかに全然関わらず、いつもらっても、すぐ返すみたいな。
小林さん:あー、それは時と場合によりますね(笑)。
若林:そうなんですか(笑)。
小林さん:必要であれば、終業時間後や休みの日も、もちろん対応します(笑)。仲の良い記者さんとは、記事が出た後、「Twitterでこんな風に言われてるね」と一緒にエゴサして報告したり、感想が書かれているとURLを送り合ったりしています。
若林:記者さんって、毎日会う存在じゃないですし、提案しに行っても1時間程度お話して次に繋がればみたいなことが多いですよね。そんな中で、よくそこまでの関係に持っていけますね。
小林さん:何でしょうね?
若林:人柄以外で説明できないですね、たぶん。
小林さん:でも、まず、基本的に即レスは意識してるし、あとは、この情報はきっとこの人興味持ってくれそうだなっていうのはコンスタントに送ったりしています。
若林:記者さんのニーズを掴むのもうまいということですね、きっと。
小林さん:お忙しい記者さんのお時間をいただくので、きっとこれは興味持ってくれそうだなっていうことは、プレスリリースを配信する時も個別でプッシュしています。
若林:非常に面白いお話を、たくさん聞かせていただいてありがとうございます。
小林さん: 全然たいそうなPR戦略なんてないんですが…最後に付け加えると、CLASのサービスと相性が良いので、Web媒体や専門誌には特に注力しています!複数のWeb媒体に掲載していただく事を継続すると、必ず、新聞やテレビにも繋がります。いきなり大きなメディア露出を目指すのではなく、日々の積み重ねをとても大事にしています!
若林:大丈夫ですよ!全体を通じて、非常にみなさんに気づきの多いお話があったと思ってます!
PRマガジン編集部の「編集後記」
―計画性と瞬発力を併せ持つ
“全然、たいそうなPR戦略なんてないんです”という小林さんの言葉に、まんまと騙されそうになった。もちろん、ご本人は嘘をついているつもりはないのだろうが、よくよく話を聞くと、超戦略的なのだ。
世の中のニュースにアンテナを張り、ベストなタイミングで情報を発信するという話。 ベストなタイミングというのが、“その日のどこか”というレベルではなく、例えば、“緊急事態宣言の発令と同時刻に”というレベル感なのだ。これは、計画性と瞬発力なくしてできない。
―PULL型広報のお手本
メディアから問い合わせをもらえるための工夫も徹底している。
“媒体研究をしていると欲しいと思うネタがわかる”とおっしゃったように、感性も優れているのだろうが、プレスリリース配信サービスから、配信する際のタグ設定や言葉選びといった細部にまで気を使っているからこそ、メディアの目に留まり、問い合わせをもらえるのだろう。
そして、一度リレーションができたメディアとは、「仕事相手」以上「友達未満」の関係を構築されるのは、小林さんの人柄があってこそだろう。他の広報もマネできそうなこと、小林さんだからできていることを、たくさん伺うことのできた1時間だった。