プレスリリースを書いているものの、「いつも同じような文章になってしまう」「配信してもメディアに取り上げてもらえない」と感じたことはないでしょうか。
プレスリリースには、発表内容を正確に伝えるための基本的な構成があります。しかし、すべての発表を同じテンプレートに当てはめれば、成果につながるわけではありません。
重要なのは、発信する情報の性質や、届けたいメディアの関心に応じて、プレスリリースの内容と見せ方を改善することです。
例えば、新商品の発表、社会的な課題に関連する取り組み、トラブル発生時のお知らせでは、最初に伝えるべき情報が異なります。また、同じ商品でも、新聞の経済面とテレビの生活情報番組では、注目される切り口が違うことがあります。
本記事では、従来のプレスリリースの書き方を見直し、媒体や目的に合わせて改善するための7つのポイントを解説します。実際に異なる業界の広報担当者が協力して記者に情報提供した事例も紹介します。
この記事の目次
- プレスリリースは毎回同じテンプレートでよい?
- プレスリリースを改善する7つのポイント
- ① 基本のテンプレートを目的に合わせて見直す
- ② 新聞・テレビ・Webメディアで切り口を変える
- ③ 異業種との共同発表でニュースの幅を広げる
- ④ 「自社初」と「社会にとってのニュース」を区別する
- ⑤ 社会的な話題と関連付ける際は根拠を明確にする
- ⑥ 不具合・謝罪などの発表では事実と対応を優先する
- ⑦ 配信して終わりにせず、反応を次の改善に生かす
- 実例|異業種の広報担当者が協力し、記者に企画を提案
- プレスリリースを改善するときの実務チェックリスト
- プレスリリースの改善についてよくある質問(Q&A)
- Q1. プレスリリースは毎回同じテンプレートを使ってもよいですか?
- Q2. 新聞向けとテレビ向けで別々のプレスリリースが必要ですか?
- Q3. 「自社初」という情報だけでもニュースになりますか?
- Q4. プレスリリースは何本配信すれば成果につながりますか?
- Q5. プレスリリースを配信しても掲載されない場合はどうすればよいですか?
- まとめ|プレスリリースは「書くこと」ではなく「伝えること」が目的
- 関連記事|プレスリリースの書き方をさらに学ぶ
プレスリリースは毎回同じテンプレートでよい?
結論から言えば、基本的な書式は統一しても、内容の優先順位や訴求の切り口は発表ごとに変えるべきです。
プレスリリースは、企業・団体が新しい情報や重要な事実を報道関係者に伝えるための公式資料です。社内で作成・承認しやすいように、会社名、発表日、タイトル、本文、問い合わせ先などの基本書式を統一することには意味があります。
一方、発表の目的やメディアの読者・視聴者に関係なく、毎回同じ流れで情報を並べてしまうと、重要な内容が伝わりにくくなることがあります。
例えば、次のような違いがあります。
| 発表の種類 | 優先して伝えたい内容 |
|---|---|
| 新商品・新サービス | 何が新しく、誰のどのような課題を解決するか |
| 調査結果 | 主な発見、調査対象、実施方法、データの意味 |
| 共同事業・提携 | 各社の役割、協業の理由、利用者や社会への影響 |
| 社会課題への取り組み | 課題の背景、実施内容、確認できる成果 |
| 不具合・トラブル | 確認済みの事実、影響範囲、必要な対応、問い合わせ窓口 |
同じ「プレスリリース」という形式でも、読者が最初に知りたい内容は異なります。
その違いを理解し、情報の順番や補足資料を調整することが改善の第一歩です。
プレスリリースを改善する7つのポイント
① 基本のテンプレートを目的に合わせて見直す
前任者から引き継いだ書式や、以前の発表資料をそのまま使い続けていないでしょうか。
テンプレートは、必要事項の記載漏れを防ぐために役立ちます。しかし、その構成が現在の発表内容に合っているかは、毎回確認する必要があります。
例えば、調査結果の発表であれば、リード文の直後に重要な調査結果を示し、その後に対象者や調査方法を整理すると理解しやすくなります。
新商品の発表であれば、商品名や発売日だけでなく、開発背景や従来との違いを早い段階で説明することが有効です。
書式の統一は維持しながら、「この記事を読む記者が最初に知りたいことは何か」という視点で構成を見直しましょう。
② 新聞・テレビ・Webメディアで切り口を変える
同じ情報でも、メディアによって企画としての関心は異なります。
例えば、企業が新しい食品を発売した場合、新聞の経済面では市場の動きや企業戦略が重要になることがあります。
一方、テレビの生活情報番組では、実際に食べる様子、調理方法、利用者の反応など、映像を通じて伝えられる要素に関心が集まる場合があります。
Webメディアでは、読者の疑問に答える具体的なデータや、詳しい解説、取材可能な専門家などが企画の材料になることもあります。
媒体ごとにまったく別のプレスリリースを作る必要はありません。
公式発表の事実関係は統一したまま、情報提供時のメール、添付資料、取材提案の切り口を調整する方法もあります。
例えば、テレビ向けには撮影可能なシーンや出演候補者、Webメディア向けには追加データや解説資料を補足する、といった工夫です。
重要なのは、媒体の名前だけで判断せず、実際の番組や記事の編集方針を調べることです。
③ 異業種との共同発表でニュースの幅を広げる
企業同士や自治体などが協力して取り組む事業では、それぞれが持つ情報や読者層を組み合わせることで、新しい企画の切り口が生まれる可能性があります。
例えば、地域の食材を使用した商品の開発で、食品メーカーと自治体が共同している場合を考えてみましょう。
商品の特徴だけでなく、地域産業の活性化、農業の課題、流通の工夫など、複数の視点から情報を整理できます。
また、BtoB企業とBtoC企業の協業では、技術的な価値と生活者へのメリットを組み合わせた説明が可能になることもあります。
ただし、共同発表では、各社の役割、公開する情報、承認者、問い合わせ対応などを事前に取り決めることが必要です。
関係企業が多いほどニュース価値が高まるとは限りません。協業によって何が新しく生まれるのかを具体的に示すことが重要です。
④ 「自社初」と「社会にとってのニュース」を区別する
「世界初」「日本初」といった実績がなくても、発信する価値のある企業活動は数多くあります。
例えば、企業が初めて海外市場に進出する、初めて社員向けの新制度を導入する、といった取り組みは、企業にとって重要な節目です。
ただし、自社にとって初めての取り組みであることと、メディアにとってニュース価値があることは同じではありません。
記者や編集者に企画を提案する際は、そこから一歩進んで考えましょう。
- 業界全体の変化を示す取り組みか
- 利用者や地域社会に新しい価値をもたらすか
- これまで解決できなかった課題に対応しているか
- 数字や具体的な事例で特徴を説明できるか
- なぜ今、その情報を伝える必要があるか
記事化されなかった場合でも、自社サイトや関係者への情報共有に意味がある発表はあります。メディアへの掲載可能性と、企業として情報を公開する目的は分けて判断しましょう。
⑤ 社会的な話題と関連付ける際は根拠を明確にする
企業の取り組みを社会的な関心と結び付けることは、ニュース性を高める方法の一つです。
例えば、人材育成サービスを提供している企業であれば、職場の人材不足や社員の定着に関する課題と関連付けて、自社の取り組みを説明できる場合があります。
環境対策に取り組む企業であれば、その内容が地域や業界の課題にどう関係するのかを示すことも考えられます。
しかし、社会問題が話題になっているからという理由だけで、自社の商品を強引に結び付けることは避けるべきです。
また、事件・事故・災害などに関連する情報では、被害者や関係者への配慮が必要です。販促の機会として利用していると受け取られないよう、発信の目的と表現を慎重に検討してください。
背景となる統計データを使う場合には、出典、調査時期、対象、集計条件などを確認し、事実と自社の見解を区別しましょう。
⑥ 不具合・謝罪などの発表では事実と対応を優先する
プレスリリースは、新商品やイベントなど前向きな情報だけを伝えるものではありません。
商品不具合、個人情報の漏えい、事故、サービス障害など、関係者への説明が必要な場面でも重要な役割を果たします。
このような発表では、話題性や企業イメージよりも、関係者が安全確保や必要な対応を判断できる情報を迅速かつ正確に伝えることが優先されます。
発表内容には、状況に応じて次の情報を整理します。
- 現時点で確認できている事実
- 影響を受ける可能性がある対象
- 利用者や取引先にお願いする対応
- 企業が実施している対策
- 問い合わせ窓口
- 次回の情報更新予定や連絡方法
原因が判明していない場合は、推測で断定せず、調査中であることを明示します。
また、謝罪文を公開すれば対応が完了するわけではありません。問い合わせや交換・返金などの対応、追加説明、再発防止策の実行が必要となる場合があります。
具体的な公表義務や対応方法は事案や関係法令によって異なるため、必要に応じて法務・品質管理などの担当部署と連携してください。
⑦ 配信して終わりにせず、反応を次の改善に生かす
プレスリリースの完成や配信を、広報活動のゴールにしてはいないでしょうか。
実際には、情報を送った後から、記者や関係者とのコミュニケーションが始まります。
例えば、次のような項目を記録しておくと改善に役立ちます。
- どの媒体にどのような情報を提供したか
- どのタイトルや企画の切り口を使用したか
- 追加資料や取材への問い合わせがあったか
- どの内容に関心が集まったか
- どのような記事や番組で紹介されたか
- 次回の発表で改善したい点は何か
記事化されなかった場合にも、媒体との適合性、ニュース性、情報提供のタイミングなどを見直すことができます。
なお、掲載がなかった理由を記者に繰り返し問い合わせたり、反応のない相手に同じ内容を何度も送信したりすることは避けましょう。
メディアにとって価値のある情報を継続的に提供することが、長期的な関係構築につながります。
実例|異業種の広報担当者が協力し、記者に企画を提案
ここで、元記事の執筆者が経験した、異なる業界の広報担当者による共同アプローチの事例をご紹介します。
美容系商材、ホテル、不動産デベロッパーの広報担当者3人が、一緒に新聞記者を訪問したことがありました。
持参した情報はそれぞれ異なります。
- 美容系商材の担当者:新商品のシャンプーなど
- ホテルの担当者:女性向けの新しい宿泊プラン
- 不動産デベロッパーの担当者:新しい商業施設に関する情報
業界や担当する取材分野は異なっていましたが、共通していたのは「女性を主なターゲットとする情報」であることです。
それぞれが別々のプレスリリースを持参し、記者と意見交換をする中で、新たな企画の切り口が生まれ、記事化につながったという経験でした。
この事例から学べるのは、業界の分類だけで情報提供先を決めず、読者や企画テーマの共通点を探すことの重要性です。
また、プレスリリースの文章だけで企画を完結させるのではなく、記者との対話から新たな視点が生まれる可能性も示しています。
ただし、これは個別の成功例であり、同じ方法を使えば必ず記事化されるというものではありません。情報の独自性、媒体の関心、担当記者の状況なども考慮する必要があります。
プレスリリースを改善するときの実務チェックリスト
次のプレスリリースを作成する際は、以下の項目を確認してみてください。
チェックリストをすべて埋めること自体が目的ではありません。発表する情報の性質や重要度に合わせて、確認事項を調整しましょう。
プレスリリースの改善についてよくある質問(Q&A)
Q1. プレスリリースは毎回同じテンプレートを使ってもよいですか?
基本書式を共通化することは問題ありません。ただし、発表の種類によって重要な情報が異なるため、タイトル、リード文、本文の順序、補足資料などは毎回見直すことをおすすめします。
Q2. 新聞向けとテレビ向けで別々のプレスリリースが必要ですか?
必ずしも別々に作る必要はありません。発表の事実関係は統一しつつ、テレビ向けには撮影可能なシーン、新聞向けには市場や業界への影響など、媒体に応じた情報を補足する方法があります。
Q3. 「自社初」という情報だけでもニュースになりますか?
企業にとって大切な発表にはなりますが、それだけで報道されるとは限りません。自社初の取り組みが利用者や社会にどのような価値をもたらすのかを示すことで、ニュース性を検討しやすくなります。
Q4. プレスリリースは何本配信すれば成果につながりますか?
最適な本数は企業の活動内容やニュースの発生頻度によって異なります。配信件数を増やすことだけを目標にせず、情報の質、媒体との適合性、取材につながった企画などを確認することが重要です。
Q5. プレスリリースを配信しても掲載されない場合はどうすればよいですか?
まず、発表内容のニュース性、媒体選定、タイトル、情報提供のタイミングを振り返りましょう。記者に追加取材してもらうための資料や情報が不足していないかも確認し、次回の企画に生かすことをおすすめします。
まとめ|プレスリリースは「書くこと」ではなく「伝えること」が目的
プレスリリースには基本的な構成がありますが、すべての情報を同じテンプレートで伝える必要はありません。
新商品、共同事業、社会課題に関する取り組み、トラブルへの対応など、発表の内容によって優先すべき情報は異なります。
さらに、新聞、テレビ、Webメディアといった情報提供先によって、関心を持たれる切り口も変わります。
「誰に何を伝えたいのか」「その情報が読者にとってなぜ重要なのか」を考え、必要な情報を最も伝わりやすい形に整理することが、プレスリリースを改善するための基本です。
そして、配信して終わりにせず、反応を振り返り、次の情報発信へとつなげましょう。
プレスリリースを単なる作成業務としてではなく、企業と社会とのコミュニケーションを始めるための資料として活用することが重要です。
関連記事|プレスリリースの書き方をさらに学ぶ
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