これからの企業広報は「個人」の発信が大事、広報にも必須なセルフブランディング

世の中は企業に勤めている「個人」のリアルを求めている

株式会社ニットの広報となって約1年。Twitterのフォロワー数は現在2万5000人を超えました。会社について発信するだけでなく、Twitter経由でイベントへの登壇を依頼していただくなど、私にとってSNSは間違いなく広報をするための必須ツールだと言えます。
今回はベンチャー企業の広報・PRにおいて、Twitterを中心としたSNSを使うメリットや、発信内容などを含めたブランディングの流れをお伝えしたいと思います。

これまで、ビジネス上でのSNSといえば、企業の公式アカウントが多く、発信されている内容は広告に近しいものでした。
しかし、単に事務的な公式情報を発信するための公式アカウントは世の中に溢れており、ユーザーがその企業・サービスへの興味を持てる状態になるのは難しくなっています。今求められているのは、個人が前面に立った情報発信を行うアカウントだと私は考えています。
なぜなら『人々は「安全」な情報よりも「本音」へ、表層的な「イメージ」よりも「リアル」な感触へ』変化しているからです。

Twitterで反響が大きい内容は企業の公式アカウントではなく、個人の感想のようなツイートの方が多かったりしますよね。
このように、SNSの利用者の変化に合わせて企業の情報発信も変化していかなければいけません。

SNSの企業アカウントの在り方についての詳細な内容は、私が非常に共感する株式会社ガイアックスが運営されているSocial Media Labに載っていますので、ぜひご参照ください。

参考URL:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-56122/
出典:株式会社ガイアックス

上記の図のようにこれからの時代は、企業が【人】を媒介して、ユーザーに情報を届けることで、より”伝わる”ということが強くなってくると思います。だからこそ、企業は【人】の認知度と信頼度を上げて、「【人】を通じて、情報が伝播されていく広報」を意識する必要があるのです。

出典:株式会社ガイアックス

企業・社会人・学生も、それぞれの単位での認知を上げていきながら、繋がってビジネスが生まれていき、ファンを創出し、連鎖を繰り返し、輪が広がっていきます。ガイアックスさんが提唱されている「SNSを通じたエコシステムが出来上がっていく」という概念【上図】は、私も非常に共感しています。

Twitter、Facebook、note、Instagram、TikTokなど、様々なSNSがありますが、やはりTwitterが、「ライトにオープンに繋がることが出来る=知らない人と繋がることが出来る」という意味では、広報においても採用においても、非常に有益であることが明白です。
ではTwitterを活用し、どのようにブランディングしていくのか見ていきましょう。

SNSを活用した自己ブランディングの流れ

SNS発信を考えた際に企業の公式アカウントにするか、個人アカウントにするか迷う方も多いと思います。
以下はあくまでも持論ですが、企業認知とSNSとの親和性です。下記の図のようにベンチャーこそTwitterを活用していくべきだと私は考えています。

ベンチャーこそTwitterを活用していくべき

BtoCは、消費者にとっても身近に感じやすく、その製品やサービスが素晴らしければ、着実に認知度は広がっていきます。そのため、公式の企業アカウントでも問題ないと思います。

しかしベンチャーにおいては異なります。特に、BtoBにおいては、認知度を上げるのはかなり難しいと言えるでしょう。したがって、BtoB・ベンチャーの場合は、個人アカウントで認知度を上げながら、ファンを増やしていき、その個人アカウントを通じて、さらに企業の認知を上げていくということが大事です。

そのため、ブランディングは、下記のような流れで構築していきました。おそらく、はじめは「ニット」という社名や、私が勤めている会社のことを知っている人は、まずいなかったと思います。むしろ、「元リクルートの人」という印象の方が強かったかもしれません。

下記は私が活用しているTwitterとnoteのアカウント名やプロフィール画面に記載している内容です。

Twitterとnoteのアカウント名やプロフィール画面

Twitterアカウント:https://twitter.com/mica823
noteアカウント:https://note.com/micakozawa

はじめは「会社」を認知してもらうのではなく、プロフィールのような「小澤美佳」がどういう人であるか、何をしているのかという私自身を知ってもらう、ということに注力していました。

「小澤美佳」がどういう人であるか

そこから派生してテレワークのノウハウやコンサルティング、オンラインイベントの相談などに繋げていきました。実際、Twitter経由での取材依頼やサービスの相談、イベントの実現などは多く、個人の発信から仕事につながっていきました。
また、現在複数のメディアで寄稿させていただいているのですが、「Twitter見てます!」「note読んでます!」と担当の方に言っていただけることもあり、SNSをベースに寄稿テーマが決まったことも多数あります。

世の中の潮流を捉え、自社ならではの発信を

ではどういったことを具体的に発信していけばよいのか見ていきましょう。「●●と言えば、ニット」と第一想起してもらえるような状態を確立するためには、時流に乗った情報を出しつつも、何度も繰り返し発信しながら、段階的に認知度を上げていくことが大切です。

段階的に認知度を上げていく

また、発信するときには、ファンになってもらえるような言い回しや心使いも大切です。
ただ企業のPRを事務的にするのではなく、世の中の人が今何を求めているかを考えて発信すると良いでしょう。

私が勤めるニットでは、、テレワークを創業時から実施しており、現在、400人全員がフルリモートで働いています。コロナの影響もあり、テレワークのノウハウを伝えていくなら今だという気持ちで、その情報を最優先で出していきました。
フォロワー数に応じて、ツイート内容を下記のように変化させ、会社の情報を伝えつつも自分の経験に基づくポジティブな言葉やテレワークノウハウを伝えています。

フォロワー数に応じたツイート内容の変化

1万人まで「コザワ=テレワーク専門家」を確立
テレワークノウハウ:40%
HRノウハウ(組織運営・採用・育成など):30%
元気になるポジティブな言葉:20%
会社の情報:10%

1万人を超えたら「コザワ=ニット広報」へチェンジ
会社の情報(テレワーク・HRノウハウ):60%
元気になるポジティブな言葉:30%
プライベート感:10%

「ニット=多様で柔軟な働き方・組織」の投稿
投稿

他社では珍しいほどのエッジの立った特徴を発信しています。

https://twitter.com/mica823/status/1289425232202215425
https://twitter.com/mica823/status/1289369033880477699

「小澤美佳=ニット広報」の投稿
・左側:第三者評価に感謝の気持ちを発信
・右側:「副業」でもエッジの立った事例を発信

左側:第三者評価に感謝の気持ちを発信。右側:「副業」でもエッジの立った事例を発信

https://twitter.com/mica823/status/1292960969375641600
https://twitter.com/mica823/status/1293468865016418304

SNSブランディングは個人の資産

SNSでの発信を続ける中で、大きな変化がありました。

まず私のことを知ってもらって、ファンになってくださる人が増えました。これから先、【個】で立っていく時代を考えた時に、これは大きな財産です。ニットという【会社】に所属する身として、この会社が本当に新しい働き方・生き方を創っていける会社だと信じているので、それらを創りながら、発信しながら推進することで、ニットのファンの人も増えたことは大変嬉しく思います。

また、以前Twitterで採用告知をしてみたところ、沢山の応募をいただき、ファンの創出から採用につながった実感がありました。
このようにSNSブランディングは企業に貢献するだけでなく、個人の資産になると考えています。また、発信を通じて、まだであったことがない方々に、言葉を届け、勇気づけたり、背中を押したり、明るい人生の一歩を踏み出すきっかけになったり、ということに貢献していきたいです。

執筆者プロフィール

株式会社ニット(https://knit-inc.com/
小澤 美佳

リクルートで10年間、営業マネージャーやリクナビ副編集長として勤務した後、中米ベリーズへ移住し起業。2019年に株式会社ニットに転職し、2020年7月より広報担当となる。副業で大学の非常勤講師として、キャリアや就職の授業を担当。
Twitter:@mica823