『採用広報』で注目を集める3社の広報担当に聞く!欲しい人材が集まるコミュニケーション戦略とは

この採用広報座談会は、2021年9月初旬に開催した内容となります。

若林
PRマガジン編集長の若林と申します。本日は「採用広報」というテーマで3名にお集まりいただきました!はじめに簡単な自己紹介をお願いします。

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

尾崎さん
尾崎 莉緒(おざき りお)と申します。
WEB制作やフリーランス向けのマッチングプラットホームを提供している株式会社GIG(ギグ)という会社の営業として新卒で入社しました。セールス業務からスタートし、キャリアアドバイザーを経て、人事職へのキャリアアップを希望し、2019年12月に人事部へ異動となり広報も兼任するようになりました。

人事部は私と上長の2名体制となります。かなり少数で人事と広報の業務を進めている状況となります。そして、今月からフリーランスとしての活動もスタートしました。週3日は「GIG」の業務にあたり、他の日は他社の採用や採用広報を手伝っている状況です。

若林
2019年12月から人事と広報になられたとのことですが、それまで広報のご経験はあったのでしょか。また、人事と広報、どのくらいの割合で業務を進めていらっしゃるのでしょうか。

尾崎さん
広報の経験はほぼありませんでした。もともと人事職だけを担当する話で異動したのですが、人事と広報を一緒に行う方が良いコンテンツが作れるのではないか、ということから広報も兼務することになりました。

はじめは人事の業務割合が多かったのですが、昨年頃より採用広報の割合が多くなってきました。採用広報に関連するウェビナーに登壇する機会をいただいたことをきっかけに、ウェビナーで紹介するコンテンツを作る意味合いでブログも開始しました。更に採用媒体としてWantedly(ウォンテッドリー)を活用しているので、その内容を更新したり、メルマガをはじめてみたり、色々な施策に挑戦しています。

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

鶴岡さん
株式会社NEXTAGE GROUP(ネクステージグループ)で広報担当をしております鶴岡美保(つるおか みほ)と申します。私は2017年に中途入社しております。未経験で広報を立ち上げ、現在5年目を迎えております。当社は、住宅のリフォーム事業を中心に住環境にかかわるサービスを提供しています。その他、BtoB向けの住宅の定期点検、アフターメンテナンスの支援サービスなども行っている会社です。

広報歴としましては、私が入社した際には広報部署が無く、総務部での採用でした。そこで中途入社の方への面接設定やご案内対応などを数か月した後、広報が立ち上がるタイミングで広報へ異動となりました。

若林
鶴岡さんは「広報のなかま」というコミュニティも運営されていますよね。

鶴岡さん
はい、そうです。私も色々な広報の方とお話をさせていただき、自分の広報活動のプラスにしていきたいと考え、広報コミュニティの運営をさせていただいております。

若林
最近このような広報コミュニティが凄く増えていますよね。やはり、皆さん広報同士の横の繋がりを意識され、一緒にスキルアップしたりメディアの方を紹介し合う、そのような活動が活発になってきていますよね。

鶴岡さん
そうですね、経験豊富な広報の方に色々な意見をいただくと「このような活動をされているんだ!」という新しい気づきが多く、特にコミュニティを始めてからは、「私、こんなことも知らなかったんだ!」といったことに驚きもあり、本当にありがたいです。

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

安藤さん
株式会社エイチームでコーポレート広報を担当している安藤春香(あんどう はるか)と申します。
弊社は名古屋に本社があり、スマートフォン向けのゲームや日常生活に密着したWebサービス、主に「引越し侍」や結婚式の「ハナユメ」などの幅広いサービスを展開している総合IT企業です。

私がエイチームに入社したのは2015年です。それまではリクルートで求人領域の営業を行なっておりました。そこからジョブチェンジでエイチームに入社し、人事として3年ほど、主に中途採用の担当をしておりました。2018年に会社から採用広報領域も一緒にやってみないか?というオファーをいただき、人事に所属しながら広報も担当していました。その後、コーポレートブランディングやコーポレートコミュニケーションと採用広報の連携を強化したいとの会社方針のもと、2018年12月に社長室付のコーポレートPRグループに異動し、エイチーム全体のコーポレートコミュニケーションやコーポレートブランディング、メディアリレーションなどに携わっております。

現在の業務内容の割合ではメディアリレーションズが4割程度、コーポレートとブランディング関連が3割程度、残りがインターナルコミュニケーションと採用ブランディングという状況となります。

若林
今回、「採用広報」をテーマに座談会を開催しようと考えたきっかけは、様々な企業から採用に困っている、とのお話を伺っていたからです。勿論、人事として出来ることは取り組んでも、それだけでは厳しく、次なる一手を考えた際、採用広報や広報視点での施策がとても重要になってきている気がする、といった声を周りで非常に聞くようになりました。

そこで、採用・人事だけでなく広報としても採用広報に注力し、様々な施策を展開されている方にお話を伺うのが一番だと考え、皆様にお声がけした次第です。本日は採用広報を中心とした話をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

仕事内容とミッション

カルチャーマッチする人材でいかに母集団を形成できるか(GIG 尾崎さん)

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

若林
現在の仕事内容とミッションを改めてお聞かせいただきたいと思います。
尾崎さんはGIGで週3日、人事と広報をされていますよね。具体的にはどのような業務をされていて、どんなミッションを掲げていらっしゃるのでしょうか。

尾崎さん
人事領域の業務は、書類選考から面接、入社後のオンボーディング、入退社の方の面談など、いわゆる人事のお仕事を想像していただければと思います。最近では制度作りや全社会議の運営等、幅広く対応しております。
ミッションとしては、採用に振った内容が多いため、採用計画に伴い採用人数の目標や離職率や定着率を追っています。広報では、採用広報と広報に分けております。

まず採用候補は、自社ブログの更新やWantedlyの求人の更新を行っています。
広報ではプレスリリースの企画から配信に力を入れており、主に自社サービス、Workship(ワークシップ)のプレスリリースの配信にあたってユーザーアンケートを採りレポートを出すことでメディアに取り上げていただけるような施策作りや運用といったところを担当しています。

次にミッションについてですが、採用広報では、採用人数に応じた母集団形成をミッションとしていて、広報ではサービスの認知を追っているのでPV数やメディアで取り上げていただいた回数を追っております。

若林
GIGさんは年間を通して採用人数が多いですよね。

尾崎さん
そうですね、ポジションを埋める採用というよりは通年採用として良い方を積極的に迎え入れたいとの方針で採用を進めています。ですので、全職種でカルチャーマッチする方を積極的に採用して行く考えです。

若林
今のお話ですと、目標採用人数の採用にコミットするというよりも母集団形成といったところにコミットされているということでしょうか。

尾崎さん
はい、いかにカルチャーマッチする方を集めることができるかというところに注力しています。

若林
そうなんですね。尾崎さんもおっしゃっている「カルチャーマッチ」という言葉は、以前から使われていたのかもしれませんが、最近よく聞きますね。この「カルチャーマッチ」が入社後の活躍や離職率に関わってくるということでしょうか。

尾崎さん
弊社は創業から5期目のスタートアップ企業ですが、最近入社された方でも自ら創業メンバーの一員というマインドで活躍されている社員が多くいます。
その方たちを観察すると、カルチャーにフィットし早期に周囲の人との関係性も築き自走できるスキルがあるのだと窺えます。
そういった点からもカルチャーマッチに焦点をあて採用を進めています。

採用ページの更新や社員インタビュー記事の執筆、SNSと幅広い業務を担当(NEXTAGE GROUP 鶴岡さん)

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

若林
鶴岡さんはいかがですか?

鶴岡さん
弊社は2つの目的を掲げ、広報を立ち上げました。一つは採用へのプラス効果。二つ目はリフォーム事業において、提携してくださる事業者さんの開拓となります。
なお、弊社の広報は私が一人で対応しているため、広報全般業務と採用に関わる広報業務は私が兼任でおこなっています。

広報の業務では社内と社外へ向けた広報全般を行なっています。具体的にはプレスリリースの作成や配信。社内報や社内動画の作成。それからSNSの発信とホームページの更新作業などをしています。更にNEXTAGE GROUPは子会社が5社あります。そのため、子会社をはじめグループ会社のプレスリリース作成や情報発信作業も行っております。

採用広報では、採用に関するニュースや話題を公開しているホームページの制作も担当しています。ページの更新作業以外にも社員インタビューや記事に添付する写真の撮影も行っています。最近ではSNSを活用した情報発信にも力を入れており、こちらも担当しています。

実は今年になり、採用ホームページをリニューアルしました。ページを見る学生さんが社会人になった自分をリアルにイメージできることを大事にしたページ作りを意識し、先輩社員の紹介を多くし、内容の充実を心がけ興味を持ってもらえるよう制作しています。

若林
非常に業務が多岐にわたりますが、各業務KPIを掲げているのでしょうか。

鶴岡さん
採用のネタで幾つとか、数字は設けていません。例えば、今年の1月から3月の採用のピーク時期だと予め採用のネタを集中して発信すると決めていたので、細かい情報も含め採用に関わるネタを出し続けました。

グループ会社9つを含めたエイチームグループのブランディング戦略を担う(エイチーム 安藤)

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

若林
安藤さんはいかがでしょうか。

安藤さん
広報全般と採用広報全般についてお話させていただきます。
先ず、エイチームは2021年8月より持株会社体制に移行しており、現在はホールディングスとして9つの子会社があります。ゲームやEC、日常生活に密着したWebサービスなど様々な領域に事業を展開している各子社含め、エイチームのグループ全体としてのブランディングを確立していく広報全般が私のミッションになります。

現在、広報は私と、もう1名での2名体制で行っております。
コーポレートPRが2名、各子会社の事業PRに関わっているメンバーが合計で15人ぐらいます。ですので、PR担当者の横の連携を図るプロジェクトとして「PRクラブ」という活動を展開しています。

イメージとしては、各社各事業がそれぞれの事業やサービスのPRを行います。コーポレートPRは「PRクラブ」の事務局として各サービスPRをフォローしていきます。また同時に、様々なPR活動を通して、グループ全体の総合的なブランドの構築を行なうという感じです。
コーポレートPRとしての広報活動としては、企業の戦略や事業展開、企業文化や組織、働き方や制度など、企業全体に関わる情報に関してプレスリリースやメディアリレーションズを行います。「引越し侍」や「ゲーム」といったサービス領域のPRは各子会社で行う、その操縦桿をコーポレートPRで担っているという役割分担になっています。

それ以外では、社内報の制作やコーポレートサイトの運営、企業パンフレットや会社概要の制作といったコミュニケーションツール全般は我々コーポレートPRが担当しております。

採用広報では人事部にある採用チームの担当者と連携しなから採用戦略や採用目標に即した採用ブランディングを構築することがミッションとなります。具体的には採用サイト内で展開する「コラム」という企業ブログの運営しており、月に3本から5本程度記事を公開しています。また、SNSの運用、その他では弊社の経営理念や企業の雰囲気を伝えるために「人」や「組織」に関する発信を強化しています。その内容は「コラム」内でも発信しますが、外部のメディアでも社員インタビューを獲得すべく、積極的に企画書をお送りするといった取り組みもしています。

皆さんご存じの通り社員インタビューの取材獲得は難しいので、メディアが多忙で取材やライティングに時間があてられない時は「私が書きますので!」と申し出て寄稿する取り組みも行っています。

それから、弊社は理念型経営をしております。弊社の経営理念や大切にする価値観を定義する「“Ateam People”(エイチームピープル)」を策定し、社内に浸透させる活動をしつつ、対外的な取材には「コラム」や「“Ateam People”」などのコンテンツを積極的に取り上げていただけるようなリレーションを行なっております。つまり、弊社の体制としては採用広報と広報全般を分けて考えるのではなく、広報の中の一部として採用広報があると位置づけでおります。

若林
今のお話から考えますと安藤さんは定期的に人事部とコミュニケーションをとって採用計画や人物像を共有し、「広報としてはこのような事ができます」と提案し活動を進めているということでしょうか。

安藤さん
はい、その通りです。あくまでも戦略やどのような人材を採用したいのか、ということは人事で考えます。その後、その人材に対して弊社の想いを伝え、動いてもらうためには、どういう情報設計で、どのソリューションやツールを使って発信して行くのがベストか、といった部分を考え、決定・実行するのが広報という役割分担です。

採用広報の必要性は増してきているか?

これまでの採用手法だけでは限界が。母集団は増やさず、内定者数を増やす戦略へシフト(エイチーム 安藤さん)

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

株式会社エイチーム 安藤 春香さん

若林
私自身は、この数年で採用広報の必要性が増してきていると感じていますが皆さんはいかがでしょうか。

安藤さん
私の経験からも採用広報の重要性は増してきていると感じています。

私は中途採用で入社しましたが、当時は人事の役割を担っておりました。その頃、弊社では年間200人以上の中途採用をしており、エンジニアやデザイナー、webマーケティングなどの専門的な職種の他、企画営業職、コーポレートスタッフと様々な職種の人材を採用するとなると、母集団の人数も凄いことになります。記憶を辿ると年間200人の採用に対して2万人程度の母集団を集めていたと思います。今だから言えますが、本当に大変でした。(笑)

その後、このやり方での課題に気がつきます。最大の問題は量のマジックに取りつかれて大事なコミュニケーションが希薄になってしまったということです。
例えば、とにかく母集団の人数を大量に集めることに神経を注いだため、コミュニケーションが薄い一方的な情報を大量に発信することになります。すると、人は集まりますが採用選考のプロセスにおいて会社の理念や社風とのマッチ度は低く、内定までの歩留が非常に悪くなりました。

更に、母集団の人数に合わせ面接官も大量に稼働させるため現場が疲弊してしまい、本来注力すべき採用候補者へのコミュニケーション強化が出来なくなりました。
一方でエンジニアやデザイナーといった領域は非常に採用が難しい領域のため、母集団の形成すら難しいという状況に陥りました。

そこで、課題解決に向けた新たな試みとして次の事を意識した取り組みを行いました。

先ず、大量に応募者数を集めるやり方を変え、とにかく少なくても良いので、しっかり自社のことを理解していただきマッチ度の高い方のみを厳選すること。
それから、エンジニア、デザイナー含めた専門職に関しては中長期的なコミュニケーションが必要なので広告やスカウトを利用して候補者を集め、自社の事をご理解いただき、ご興味や関心度を高めていただく。そして、応募する段階では自社のファンになっていただくこと。

このような2軸の観点で最適なコミュニケーション設計と情報設計を行うことを意識し、人事の傍ら採用広報を始めました。

また、ちょうどその頃は、メルカリさんがブログを始めて注目され、Wantedlyなどのソリューションも社会的認知が高まり出した時でした。会社として採用広報へのリソースを割かないと2年後、3年後には採用マーケットにおいて取り残される懸念点を感じたこともあり、これらの背景が引き金となり採用広報に力を入れ出しました。

若林
御社の事業内容を拝見した時に、真っ先に目に付くのはエンジニアやデザイナーなどの技術職の方が多くいらっしゃることです。このような技術職の方は、世の中的にも引く手あまたな領域ですよね。ですから採用が難しいというお話を聞いていました。
その中で、どのようにして多くの方を採用されているのかが気になっていたのですが、今のお話は非常に納得感がありました。

やはり、量を集めたとしてもカルチャーマッチ度が低ければ内定は出せず採用できない訳ですよね。人事は忙しくなり、人手不足で社内も忙しくなるという悪循環。そこで初めて、やはりカルチャーをきちんと伝えて、「ここで働きたい」、「こんな働き方をしたい」と、思ってもらえるような情報発信をして行こうと決心されたということですね。

安藤さん
そうですね、当時を振り返ると結構な判断だったと思います。
私のチームでは無いのですが、新卒採用チームも同じような判断を当時しております。

弊社では例年30~40人くらい新卒を採用していましたが、2017年から始まった2019年卒新卒採用に関しては100人とこれまでの2倍以上を採用しています。普通に考えれば入社数を2倍に増やすためには面接官や採用後の受け入れをする新卒チームの体制も人手を増やし強化する必要があります。しかし、そこは変えず採用数を2倍に増やすことが出来ました。
どのようにして増やしたかと言いますと、母集団を増やすどころか真逆で、内定一人当たりの母集団数を半数以下に減らすという戦略を打ち出しました。経営理念や企業風土とのマッチ度を高めながら、採用基準を妥協することなく、採用コミュニケーションを緻密に設計することで、この年は母集団を大幅に増やすことなく99人の新卒を採用しました。

当時は、「とにかく母集団は必要だから母集団を減らすことは心配」といった声があがり、件を感じる人も少なくありませんでした。しかし、限られたリソース、限られた面接官の時間を考えた時に、とにかく採用ターゲティングをしっかりして、しかるべき情報設計をすることで母集団を半数にして内定者数は倍にするストーリーを打ち立てたのです。更に、そのストーリーを成功させる施策も準備し、リアリティを持たせることで社内からも理解を得て活動を実現することが出来ました。

その施策というのが、全国各地に人事が出向いて開催していた会社説明をやめ、代わりに20分の企業紹介動画や1本10分の各職種を紹介したインタビュー動画を6本分制作し、いつでもどこでも弊社の企業説明会に参加できるような動画コミュニケーションへのシフトです。

若林
それが、戦略通りにうまく行ったということですね。

安藤さん
上手く行きましたね、我々もびっくりしました。(笑)

社内から上がっていた懸念に対してもデータを用いて実証し、賛同を得たところはあります。しかし、会社の未来を作っていくのが人事であり採用面接だということを役員や各所関係者の方も理解されているので、限られたリソースの中で何が出来るのか、どうのように展開するべきなのか、といったところを根強く繰り返し説明したことで承認を得られました。

当時の新卒採用チームは本当に大変だと思います。ただ、人事の活動が売り上げに直結している訳ではありません。これは広報も一緒なんですけれども…(笑)
ですので、いかに活動を通して付加価値を高めて、社内に理解してもらうかというのは、広報も人事もとても必要だと思います。

若林
そうですね。
今回の座談会に参加いただいている皆さんは、広報と人事という中長期で会社を変えていくお仕事に付かれています。営業のように数字で効果や結果が直ぐに現れる職種ではない。そういった意味では会社への説得とか理解を促す活動は欠かせなかっただろうと感じ、安藤さんのお話はとても参考になりました。ありがとうございました。

ビジョンや先輩社員インタビュー発信に注力した結果、マッチ度の高い学生が入社するように(NEXTAGE GROUP 鶴岡さん)

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

株式会社NEXTAGE GROUP 鶴岡美保さん

鶴岡さん
私も採用活動や情報発信して行くことへの重要性は感じておりました。
と言いますのも、先ほど弊社が広報に注力したきっかけは採用へのプラスの効果を高めることと、提携先の開拓とお話させていただきましたが、企業としてのブランド力をしっかり高め外部へ発信して行くことが立ち上げの理由で、代表からも採用に特化した広報活動への期待が高かったからです。

弊社は新卒採用を2016年からはじめており、初年度は14名入社しております。そこから毎年増え続け、最近では毎年30名の新卒採用をしています。
特に今年は採用人数を倍に増やす見込みで60名ぐらいの採用を予定しています。採用人数拡大は社内から期待されていることでもありますので、採用活動にプラスになる情報発信をしっかり行う必要があると感じております。

具体的な事例で説明いたしますと、弊社には社風として「熱血」的な要素があります。(笑)
そこで、企業の合同説明会も一般的な説明会ではなく、体育会系の学生さんが集まる説明会に参加するようにしています。その方が弊社の社風や理念にマッチした学生さんの採用率を高められると考えているからです。

そして、その取り組みの効果が出てきており、年々、新卒採用が上手く回り始めていると感じています。しかし、他の企業さんからは採用で苦労されていると伺います。どのようにしたら自分達の会社に合う人材を採用できるのかと、悩まれている担当者が非常に多いので採用広報の重要性はとても高まっていると感じています。

若林
御社は鶴岡さんの他に採用担当の人事がいらっしゃるのですか。

鶴岡さん
弊社は採用だけに特化した採用担当者がおります。
その他の情報発信や弊社の取り組み、イベント情報などを細々と発信して行くのが私の採用広報としての役割です。

若林
ありがとうございます。
勝手なイメージでリフォーム事業は新卒採用において、業界ならではの難しさのようなものがあるのでは?と、思っていたのですが全く無いのですね。

鶴岡さん
もちろん、難しい部分はあります。しかし、弊社に来る学生さんに話を聞くと、あまり業種とか業界を絞っておらず、説明会などで出会った社員の雰囲気等を重要視しているようです。
よく聞くのは、「この人と働きたいと思い希望しました」という声です。採用担当者に憧れてという動機の学生さんがかなり多いです。

そのような喜ばしい実績の背景には採用担当者が頑張ってくれているということと、入社1年後のステップアップがイメージしやすいビジョンや先輩社員の声など、情報をしっかり発信できていることにあると思います。

コロナ前後で採用広報の手法が変化。ブログやSNSから採用につながるケースが増加(GIG 尾崎さん)

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

株式会社GIG 尾崎莉緒さん

尾崎さん
採用広報の必要性というお話では、弊社自体が創業当初から「誰と働くか」、ということを凄く大事にしている会社のため、私が採用担当になる前から採用広報には注力していたと聞いており、その必要性を十分感じていたのだと思います。

採用広報の在り方では、そもそもコロナ前と後で、かなり変わったと思っています。

コロナ前は、エンジニアやデザイナー、ディレクター、マーケティングらが毎月テーマを決めて実施する「オフラインでの勉強会」を行なっていました。そこでは外部の方を積極的に起用し、時には他社さんとコラボ企画も行っておりました。勉強会の後には社員メンバーと参加者の方が話せる懇親の場を設けており、採用広報活動としてオフィシャルな場ではありませんが、社員メンバーと実際に会っていただき応募前のコンタクトを増やすという活動として注力していました。

しかし、コロナ禍では、以前のような手法が取れなくなったため、今はSNSや採用のブログ、ウェビナーなどでの採用広報を取り入れているところです。
最近では採用広報の一環であるブログを人事担当以外の社員にも書いてもらっています。テック系やデザイン系といったテーマに合致できるようなブログを書いてくれた社員には記事制作費をお支払いしています。
これは、ブログを継続的に書いてもらえるよう、執筆した社員に対して記事制作費を会社からお支払いするという「GIGブログ制度」で、執筆へのモチベーションアップを高める試みとして役立っています。

後は、SNSが好きな社員の中には自身のSNSで「只今、この職種募集しています」といった内容を呟いてくれるありがたい社員が沢山います。
その呟きを見て興味を持たれた求職者の方がコメントや電話で呟いた社員へ問い合わせて来られ、その後、社員が人事へ紹介してくれ採用へ繋がるというパターンも最近では凄く増えてきていると感じています。

若林
人事や広報だけでなく全社的に採用には前のめりの体制になっているということですね。

尾崎さん
そうですね。弊社は人事の人数がすごく少ないので、各職種に必要なポジションというところは各メンバーが自分事化してくれて積極的に採用広報と採用に協力してくれている社風ではあります。

若林
ちなみに、「ブログ」は採用にどれほど影響を与えているのでしょうか。

尾崎さん
面接前に「GIGブログ読みました!」という応募者が非常に多いです。例えば「同じ職種の〇〇さんのブログを読んで興味を持ちました」とか「勉強会の取り組みを見て、成長の出来る環境がある所に惹かれて応募しました」といった声を沢山いただいております。また、我々としても面接の中で出た質問から応募される方々の知りたい事としてキャッチし、それをブログ記事にして紹介することが出来ます。そういった採用と広報の親和性といったところも最近実感しています。

若林
「GIGブログ」は新規の接点づくりに役立っているのでしょか。それとも、もともとGIGを知っている人に「GIGブログ」でファンになってもらうためにされているのでしょうか。

尾崎さん
どちらもあります。最近ではSEO的なところも加味してコンテンツを作っています。そのため、未経験の方が勉強がてら検索した時に弊社のブログがヒットし、そこで初めて弊社を知っていただくパターンもあります。一方で弊社に興味をお持ちいただいて「GIGブログ」を読み込んで採用に応募してくださるパターンの方と、どちらのパターンもいらっしゃいます。

若林
そうなんですね。安藤さんと鶴岡さんはブログをされていますか。

安藤さん
弊社では採用サイト内にコラムという形で記事をだしております。月に3本から5本のペースで企業の取り組みや社員インタビュー、ATEAMの企業文化を表すような制度を活用した話などを発信しています。

若林
確かに…メディア掲載や社員インタビューといったことを積極的にニュース一覧に載せてコンテンツとして発信されていらっしゃいますよね。
鶴岡さんはどうですか?

鶴岡さん
弊社は採用ホームページにてインスタと連携したブログを発信しています。週に2回の発信です。